TSMCが米国政府から中国南京に有する半導体工場(Fab 16)に対する米国製半導体製造装置の輸入に関する規制免除の延長通知を受け取ったと、台湾政府の王美華経済部長(日本の経済産業相に相当)が10月13日に明らかにしたと複数の台湾メディアが報じている。

それらによると王氏は、TSMCの中国での事業は正常に行われており、TSMCは国際企業として企業機密を保護し、関連規制を順守していると述べたが、米国政府からの通知内容の詳細は明らかにしなかったという。

米国のバイデン政権は2022年10月に中国に対する半導体製造の輸出に関する規制措置を発表し、それに伴いTSMCには1年間の免除が与えられていたが、2023年10月でその免除期間が終わることとなるため、今後の動向に注目が集まっていた。Fab 16は主に車載向けに28nmプロセスを採用した製品が製造されており、決して最先端の前工程工場というわけではない。すでに先行して韓国政府がSamsung ElectronicsとSK hynixが米国政府より「検証済みエンドユーザー(VEU)」に指定され、それぞれの既存の中国工場は米国政府からの追加の承認を得ることなく米国製半導体製造装置の輸入許可を米国政府より得たことを明らかにしており、今回のTSMCの動きもそうした流れに沿ったものだと思われる。

なお、TSMCは10月19日に予定している2023年第3四半期決算説明会前の沈黙期間にあり、本件に関するコメントを控えている。