Micron Technologyは10月3日、マイクロンメモリジャパン広島工場が経済産業省(経産省)による最大1920億円の助成金の支援を受ける予定であると発表した。

この助成金は、現在開発されている製造技術としてもっとも複雑で高度とされるEUV露光技術を用いた10nmプロセスとしては6世代目となる1γ DRAMプロセスノードの生産と、それを元にした次世代広帯域メモリの研究開発の支援に充てられる。

1γプロセス技術は、広帯域メモリ(HBM4)や、急速に台頭する生成系人工知能(AI)向けアプリケーションへの応用など、技術革新の新たな波を起こすことが期待されている。広島工場では、1つ前の世代となる1β DRAMの量産に成功し、2023年7月下旬よりHBM3Eのサンプル出荷を開始しており、それに続く1γ DRAMの導入により、半導体製造の限界を押し上げ、メモリ業界を牽引するという同社のコミットメントをより強固にするものだという。

また、今回の助成金について同社は、開発チームの強化を支援し、研究開発プロジェクトのポートフォリオの拡大を促進させ、日本における半導体のイノベーションと専門技術の醸成に寄与するものだとしているほか、この研究開発の促進とEUVを中心とする最先端プロセス装置への投資により、地域社会、国内の装置メーカーや材料サプライヤのすべてが、今後、急速に広がるエコシステムの恩恵を享受できると同社は期待を寄せている。

今回の助成金は、前世代の1β DRAM生産に対する465億円の助成に続くもので、経産省は今後も継続して支援していくとしているが、背景には米国からの強い要請があると言われている。

なお、Micronのグローバルオペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデントのマニッシュ・バーティア氏は「Micronは、経済産業省による今回の支援決定に深く感謝している。これは、共通のビジョンを持ち、日本での技術革新に献身的に取り組んでいる証しである。日本政府とのパートナーシップの継続を光栄に思うとともに、EUVを用いた1γ DRAMによる生産の取り組みと、AIアプリケーション向けの次世代広帯域メモリの研究開発を加速させていく」と述べている。