Teradataは8月21日~23日にシンガポールでカンファレンス「Possible」を開催した。本稿ではTeradata President and CEOであるSteve McMillan(スティーブ・マクミラン)氏のキーノートを紹介する。

生成AIが世界に与えたインパクト

まず、Teradata CMO(Chief Marketing Officer)のJacqueline Woods氏が生成AIのインパクトについて以下のように説明した。

  • Teradata CMO(Chief Marketing Officer)のJacqueline Woods氏

    Teradata CMO(Chief Marketing Officer)のJacqueline Woods氏

「当社は創業当初から高度なアナリティクスの重要性を意識しており、ビジネスの核にあるものだ。生成AIはビジネスで会話をするときに必ずと言っていいほど話題にのぼり、企業がどのように生成AIを捉えて、最大の価値を引き出すのかが問われています。マッキンゼーの調査によると、63の生成AIに関するユースケースにおいて年間の経済価値は4兆ドルと予測し、生産性向上は8兆ドルに達すると想定されています。また、アクセンチュアの調査では世界の経営層の98%が3~5年間でAIの基盤モデルは組織の戦略で重要な役割を果たすと回答しています」(Woods氏)

  • 生成AIのユースケースにおいて年間の経済価値は4兆ドルと予測されている

    生成AIのユースケースにおいて年間の経済価値は4兆ドルと予測されている

こうした結果を前提に、マクミラン氏は「AIを企業でどのように活用すればいいのか?ChatGPTの登場により、期待もあれば恐れを抱いた人もいました。最近、ChatGPTはAIのテストとして有名な『チューリングテスト』に合格したことが話題になっています。そして、さまざまな企業が生成AIに取り組んでいます」と述べた。

  • Teradata President and CEOのSteve McMillan(スティーブ・マクミラン)氏

    Teradata President and CEOのSteve McMillan(スティーブ・マクミラン)氏

今年初めに画像生成AIに代替されるのではないかという疑念から、米Adobeの株価が下落したが、先日に独自の生成AI「Adobe Firefly」を発表し、製品を強化していることを同氏は挙げていた。

そして、マクミラン氏は「2010年代はデータドリブンという話が主流でしたが、2023年からはAIドリブンの時代に突入しました。つまり、データ、アナリティクス、インテリジェンスが最も価値のあるリソースであり、これらは次のステップです。生成AIはビジネスのオペレーションが変わります。Bank of Americaは、2018年からAIアシスタント『Erica』を提供し、現在では利用者数が計3200万人、利用回数は10億回を超えています。カスタマーオペレーションだけでなく、AIと生成AIはマーケティングや営業、ソフトウェアエンジニア、R&D(研究開発)などの領域にも応用できるのです」と説明した。

一方、AIの導入に際して留意すべきこととしては、データの健全性を保ちながら進めていくことだという。

マクミラン氏は「AIのプロジェクトはデータが中核的な課題であり、組織内に分散したデータを集約して環境を近代化していく“データの調和”(Data Harmonization)が必要不可欠です。オープンかつ接続されたエコシステムを活用し、フレキシブルに情報提供をしていく必要があり、AIのイノベーションを効果的に組織全体に拡大していく必要があります」との見解を示す。

  • AIプロジェクトには“データの調和”が不可欠だという

    AIプロジェクトには“データの調和”が不可欠だという

AIのプロジェクトは多くの価値を生み出す可能性があり、同社では顧客のAI、アナリティクスモデルがインパクトを持ち、一貫性を保ちながら容易に実装できるようにしていくことを支援するという。

そのうえで、同氏は「信頼できるAIは、パフォーマンスを向上させるとともに市場投入までの時間を短縮し、柔軟性を保ちながら拡張し、倫理的かつ責任あるガバナンスを効かせることができます。これにより、ブレイクスルー的なインサイトを得ることが可能です」と話す。

信頼できるAIのためには“データの調和”が不可欠

とは言え、信頼できないデータを使う可能性もあり、同社は各企業のデータを守る立場にあるため、AIが単に人工的なものではなく、正しいインテリジェンスとして機能する必要があるとマクミラン氏は強調し、AIの活用について注意を払うべきポイントとして以下のように述べている。

「自社のデータセットを調和させなければ、AIのアウトプットを完全に信頼することはできません。将来予測はデータの調和あってこそ可能であり、AIの利用で課題になるのはモデルを構築するためのデータセットにあります」(マクミラン氏)

そのため、同社ではデータの質やデータセットのギャップといった課題に対応するという。つまり、組織におけるデータのサイロ化を解消し、どこにデータがあっても活用できるようにしていくことを支援するということだ。

フォーブスの調査によれば、2010年代はデータドリブンの時代であったものの、企業の24%しかデータドリブンであると回答していないことに加え、データカルチャーが存在するとの答えが21%、データ利用に関して責任と倫理観を持っていると回答した企業は24%となっており、マクミラン氏は「怖い数字ではあるが」と危機感を滲ませていた。

  • データ利用に関して責任と倫理観を持っていると回答した企業は24%と低い

    データ利用に関して責任と倫理観を持っていると回答した企業は24%と低い

このような調査結果を受け、同氏は「当社は最先端に立って、データとの付き合い方を支援しています。生成AIは産業界が変化し、どのように変化していくかをアドバイスできます。企業は競争と繁栄のためにデータを調和させなければなりません」と念を押す。

AIのためのクラウド分析・データプラットフォームとしての「VantageCloud」

マクミラン氏によると、いつでもどこでも信頼できる最新のデータこそが、優れたAIの基盤であり、同社では「VantageCloud」がAIのためのクラウド分析・データプラットフォームとしても顧客を支援できるという。

VantageCloudについて、同氏は「より良い情報によって力を与えられたとき、人は成長します。データがどこにあっても、アクセス、分析、利用でき、使いたいツールセットでデータ分析を実行を可能とし、クエリあたりのコストも低く、最先端のAI/MLを利用することでビジネス価値を加速できます」と、そのメリットを説く。

  • 「VantageCloud」の概要

    「VantageCloud」の概要

そして、最後に「当社のプラットフォームは単なるDWHだけでなく、データレイク、レイクハウスの機能も提供でき、あらゆるデータソースに対応することが可能です。データはすべての人が使えるように民主化されるべきであり、それはAIも同様です。当社はお客さまの懸念を払しょくし、AI、生成AIの活用を支援するとともにビジネスの成功を支援します」と結んだ。