IDCのシンガポールオフィスは、半導体OSAT(アセンブリとテストの受託企業)市場について、2022年は前年比5.1%増の445億ドルとなった後、2023年は同13.3%減と推定されるほか、2024年には半導体業界の緩やかな回復に加え、先進パッケージングやヘテロジニアスな集積におけるベンダーの展開により、OSAT業界全体が再びプラス成長に転じるとの予測を公開した。

2022年のOSAT企業ランキングは、トップが台湾のASEでシェア27.6%、2位はAmkorの19.5%、3位は中JCETの11.3%、4位は中TFMEの同7.1%、5位はPTIの同6.4%で、これらトップ5だけで世界市場の約7割のシェアを占める。トップ10社の本社所在地を国・地域別でみると、台湾勢が6社(ASE、PTI、KYEC、Chipbond、ChipMOS、Sigurd)、中国勢が3社(JCET、TFME、Hua Tian)、米国勢1社(Amkor)となっており、トップ10社の合計シェアは80%となっている。また、その国・地域別でシェアを見ると、台湾勢のシェアが49.1%、中国勢が26.3%、米国勢が18.8%、その他(韓国、日本、東南アジアなど)が5.8%となっている。

  • 2022年のOSAT売上高ランキングトップ10各社のシェア

    2022年のOSAT売上高ランキングトップ10各社のシェア (出所:IDC)

2023年は、家電製品の需要落ち込みと非AIアプリケーション向けクラウドサーバー需要の減少などもあり、半導体需要が低迷しており、多くのOSATの工場稼働率は、上半期で50%~65%であったとみられるという。ただし、在庫調整後の需要の緩やかな回復に伴い、下半期には60%~75%に回復すると予想されているほか、AIを中心とする先進パッケージング分野の需要増に伴い、80%近くまで高まる可能性があるものの、2022年ほどには回復しないと見られるという。ただし、その流れは2024年も継続されるため、半導体需要の回復も併せて、2024年には再びプラス成長に転じるものとIDCでは予測している。

なお、IDCでは「チップの最終的な品質と効率に不可欠なOSATは、半導体産業チェーンの下流部分の中核を成している。HPC、AI、機械学習が進化するにつれて、異種チップの高度なパッケージングへと変化が起こると予想される。特にムーアの法則に従って、2D構造から2.5D/3D構造への統合が進んできている。将来を見据えて、メーカーは成長する市場需要を満たすために投資を増やすと予測している」との見方を示している。