米国の半導体大手3社(Intel、Qualcomm、NVIDIA)のCEOが7月17日(米国時間)、ワシントンD.C.にて複数の米国政府高官と会合を開き、米国政府が新たな対中半導体規制の強化として検討している内容について協議した模様である。
会合には政府からブリンケン国務長官のほか、レモンド商務長官、ブレイナード国家経済会議(National Economic Council:NEC)委員長、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)なども出席した模様だが、会合の内容に関しては、参加者リストを含めて一切公表されていないほか、会合に参加されたとされる企業側からもコメントは出されていない。漏れ伝わるところによると、会合では、米国政府が対中半導体輸出規制の強化として、演算速度の遅いAIチップまで含めることを検討しており、それに対して各社のCEOが懸念を表明し、米国の半導体企業が一大消費地である中国市場から締め出されないよう配慮することを求めたとみられる。
SIAが対中半導体規制の強化に対する懸念を声明として発表
ただし、この会合に併せる形で同日付で米国半導体工業会(Semiconductor Industry Association:SIA)が「米国政府による対中半導体輸出規制の追加措置の可能性」に関する懸念を表明する声明文を公表した。
それには、「米国半導体業界がコモディティ半導体の世界最大市場である中国市場に継続的にアクセスできるようにすることは、CHIPS法の取り組みのプラスの影響を損なわないようにするために重要である。しかし、(米国政府が)過度に広範かつ曖昧で、時には一方的な制限を課す措置を繰り返すことは、米国の半導体産業の競争力を低下させ、サプライチェーンを混乱させ、市場に重大な不確実性を引き起こし、中国による継続的な報復のエスカレーションを引き起こす危険がある。我々は米中両国政府に対し、緊張を緩和し、これ以上緊張を高めるのではなく、対話を通じて解決策を模索するよう求める。そして我々は米国政府に対し、産業界や専門家とより広範に連携して現在および潜在的な制限の影響を評価し、制限が限定的で明確に定義され、一貫して適用され、同盟国と完全に調整されているかどうかを判断するまで、さらなる制限を控えるよう要請する」と書かれており、過度な規制を適用する前に対話での解決を模索することが示されている。
なお、SIAによるこの声明に対して、米国家安全保障会議(NSC)は「我々の制裁措置は国家安全保障に影響を及ぼす技術に焦点を合わせるよう慎重に調整されており、米国と同盟国の技術が我々の国家安全保障を弱めるのに使われないよう設計されたものである」と主張したという。