SBIホールディングスは7月5日、台湾の半導体ファウンドリPowerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)と日本国内での半導体工場設立に向けた準備会社を設立することについて基本合意したと発表した。
PSMCは台湾で3位、世界でも6位にランクされるファウンドリ。28nmプロセス以上を手掛けており、ニッチ分野向けメモリと成熟したスペシャリティプロセスを用いたロジックの生産で存在感を示すなど、特徴的なビジネスモデルを有している。SBIホールディングスでは、PSMCのそうしたノウハウを活用し、日本および世界の半導体の安定供給に寄与することを目指すとしている。
今回の締結に基づき、SBIグループとPSMCは準備会社を早期に設立し、同準備会社にて、工場立地場所の選定、事業計画の策定、資金調達の計画などを進めていくとしている。
SBIの北尾吉孝会長は、記者会見にて「当社は『金融を核に金融を超える』という理念のもと、日本が再び半導体産業を勃興し、日本が半導体のグローバルサプライチェーンの起点となり、さまざまな産業の発展に寄与していけるように貢献する。日本のものづくり復活のためには、産業のコメと呼ばれる半導体を産業基盤として、強いエコシステムを構築していくことが大事だ」と意気込みを語った。
また、半導体産業と金融業が組むことに意義があるとし、資金調達のほか、政府に補助金や税制上の優遇措置を働きかけることなどもSBIの役割とした。技術や人材はPSMCが提供する形で、共同で設立する新会社が、日本での工場建設や運営など事業化を担う。
一方のPSMCの黄崇仁(Frank C.Huang)会長は「さまざまな国から招致の意向があったが、日本はコスト高だった昔に比べ、円安の上、労働力なども安く、サプライチェーンなどあらゆる条件が整っており、進出する絶好の機会だと思った。成功のためには技術力だけでなく資金調達も重要であり、この点でSBIに期待したい」と話っている。
台湾のファウンドリ大手3社が日本で工場を持つ日
なお、台湾ファウンドリとしては、すでに台湾2位のUMCが三重富士通セミコンダクターの三重工場を600億円弱で入手し、2019年よりユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン(USJC)として稼働させているほか、台湾1位のTSMCも2024年末までの操業開始を目指して熊本県に工場(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing:JASM)を建設中である。今回の取り組みで、台湾3位のPSMCの日本工場建設が実現すれば、台湾のファウンドリ大手3社いすれもが、日本で成熟プロセスを用いた受託生産工場を操業させることとなる。