ライオンは6月13日、製品の組成開発での活用を目的として、MI(Materials Informatics:材料情報学)を用いて研究員の知見を取り入れたデータ駆動型の実験計画手法を確立し運用を開始したことを明らかにした。

また、この手法をハミガキの組成開発に応用した結果、実験回数を削減でき、想定の約半分の期間で開発できたことから今後の研究開発のスピードアップにつながると期待されるのだという。

  • ハミガキの組成開発の期間を短縮する技術を開発した

    ハミガキの組成開発の期間を短縮する技術を開発した

ハミガキの組成開発においては、香味や泡立ち、ペーストの固さや滑らかといった使用感、むし歯や歯周病を予防する機能など、複数の目標を同時に満たす必要がある。これに対し同社は、限られた既知のデータを起点に組成探索が可能な機械学習手法である「ベイズ最適化」について、研究員の知見を効果的に取り入れることでより少ない実験回数で複数の目標を満たす実験計画手法を確立した。

  • ベイズ最適化を用いたハミガキ開発

    ベイズ最適化を用いたハミガキ開発

同社は開発した手法を用いて、ハミガキの固さと滑らかさの物性指標である粘度と弾性率の最適組成を探索した結果、従来は100回以上作製することも珍しくないサンプルについて、16回で目標を満たす組成を導き出すことに成功したとしている。同手法に伴う追加の工程を含めても、想定の約半分の期間で組成開発を実現できたとのことだ。