台湾政府が、NVIDIAの台湾における「人工知能(AI)イノベーション R&D センター設立プログラム(AI研究開発センター)」に設立計画に対し、経済部(MOEA)傘下の工業技術局(DOIT)が立ち上げた「Pilot Enterprise R&D Deep Dive」プログラムから67億NTドルを補助金として提供することが決まったと複数の台湾メディアが報じている。

同様の補助金を受け取った案件としては、Micron Technologyの「DRAM先進技術および高帯域幅メモリ R&D リーダーシッププログラム」に対する47億2200万NTドルがあり、NVIDIAで2例目にあたるという。この補助金は、審査基準が厳しいことから、これまでに受給資格を得たのは、MicronならびにNVIDIAの2社だけだという。

台湾政府は、研究開発協業サプライチェーンを強化することを目指し、大手グローバル企業が台湾に投資して先進技術を開発し、台湾のサプライチェーンを活用して研究開発や共同創造のための協力システムを構築するという目標を掲げ、呼び水として補助金制度を用意。台湾における先端技術の研究開発を推進し、台湾を世界的な研究開発拠点としての地位を確立する狙いがあるようである。

MOEAによると、NVIDIAの計画には、将来を見据えたテクノロジーに投資するために1000人の研究開発チームを雇用することが含まれているほか、台湾企業と協力して高度なGPUテクノロジーを活用したAIアプリケーションを開発し、台湾企業の国際進出を支援するという。

また、AI研究開発センター向けコンピューティングプラットフォームの一部を、台湾の研究機関、パートナー、スタートアップ企業に研究開発用途向けとして開放するほか、台湾のAI人材育成に向け、国立台湾大学などのトップ大学とも協力する予定だという。

NVIDIA以外にも米国を中心としたIT・半導体企業の多くが、台湾の高度人材に注目し、現地に研究開発センターを設置する動きを見せており、TSMCをはじめとする台湾のハイテク企業からの人材の引き抜きが進み、高度人材不足が深刻化しているという。

AI分野での成長を加速させるNVIDIA

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、COMPUTEX 2023の会期前日となる5月29日に基調講演に登壇。「AI向け半導体の展開をさらに加速していくため増産体制を敷いている」と述べ、Arm CPUとHopper GPUをモジュールで集積した最新製品「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」(開発コードネーム:Grace Hopper)を正式に発表したほか、そのGH200を256基搭載して1EFLOPSのAI性能を実現する独自のスーパーコンピュータ「DGX GH200」も2023年末までに提供開始する計画であることも明らかにした。

また、AIチップの製造委託先としては現状のTSMCだけではなく、Intelのファウンドリ部門(Intel Foundry Service(IFS)」も検討しており、すでにIFSからテストチップを受け取ったことも明らかにしている。

なお、業績好調かつ最新製品のリリースなどを背景に同社の株価は5月30日(米国時間)に一時419ドルまで上昇し、上場来高値を更新。時価総額も1兆ドル(約140兆円)に達し、AppleやMicrosoftなどと並び「1兆ドルグループ」入りを果たした。時価総額1兆ドル超えは半導体企業としては初となる。