IntelのPat Gelsinger CEOは、同社主催の「Intel Vision 2023 in Taiwan」で基調講演を行うために、5月22日から25日にかけて台湾を訪問。その際、記者会見などにおいて、「Intelは今年下半期に成長の兆しが見えている。4年以内に5つの先端プロセスノードを開発し、2030年までに世界第2位のウェハファウンドリになるという目標に自信を持っている」と述べたと複数の台湾メディアなどが報じている。

現在、ウェハファウンドリは首位がTSMC、2社にSamsung Electronicsが陣取っているが、Intel Foundry Service(IFS)がSamsungを追い抜き業界2位へと育て上げることが目標の1つとなっているようである。Gelsinger氏は、「『一部の株主からIFSを別会社にせよ』との声があるが、IFSは社内にとどめ、その代わり社内とのファイヤウォールを高くして、顧客情報が社内に漏れぬようにする。Intel社内からもIFSはファウンドリの1つとしてほかのファウンドリにも製造委託できるようにする」とのスタンスの表明もあったという。

Intelが下半期に成長が期待できるとしているのは、伝統的な業界の市況の波でもある9月からの米国での新学期やクリスマスなどでの購買意欲の高まりが期待できるためで、PCの在庫調整はもとより、データセンターも下半期には調整を終えるとの見通しを示している。また、世界的な地政学的問題への対応として、「重要なのはバランスの取れた強靱なサプライチェーンを世界的に確立すること。現在、米中関係は緊迫しているが、Intelはそうした米国と中国の架け橋となるつもりだ。自分も、米国商工会議所のチームとともに7月にも再び中国を訪問する予定で、米中間の正常な対話が増えることを期待している」と述べたともしている。

加えて、「例え米中関係が緊迫したとしても、Intelは中国の顧客と台湾のエコシステムにサービスを提供するだろう」とも指摘。同社は米国企業であるが、中国でも40年近く事業を展開しており、現地に多くの従業員と多くの顧客を抱え、その収益は巨額でかつ年々増加しているため、米国政府の対中半導体輸出規制には「慎重に対応する」としており、規制は遵守しつつも中国市場でのビジネスの拡大を目指し、なんとか現状を打破する方策を見出そうとしているように見える。

なお、Gelsinger氏がIntelのCEOに就任後、今回の台湾訪問が4回目となるが、今回はTSMCに増産を委託するような状況にはないため、TSMCのC.C. Wei社長はじめ関係者との会談の席は設けなかった模様である。