トウモロコシの芯など食料の捨てる部分から「ビフラン」と呼ばれる分子の骨格を合成し、これを使って優れた有機ケイ素高分子を開発したと、群馬大学の研究グループが発表した。紫外線を吸収したり、蛍光を発したりする特性があり、リサイクルもしやすい。電子材料やコーティング材料、セラミックの基となる物質として活用が期待されるという。

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    研究成果のまとめ。食料の廃棄部分から便利な有機ケイ素高分子を作り、さらにリサイクルも(橘熊野・群馬大学准教授提供)

プラスチックや繊維などに使う汎用の高分子材料とは違い、熱や光などを受けて特殊な機能を発揮する「機能性高分子材料」が、工業や医療などの多方面で利用されている。その骨格には、炭素原子6つが正六角形となって結合したベンゼン環が多用されてきた。ただ、ベンゼン環はケイ素化合物となって利用された後、ケイ素との間の結合を切るのが難しく、リサイクルしにくい問題があった。

これに対応するため研究グループは、骨格のベンゼン環を食料の廃棄部分から作れるビフランに差し替える研究を進めてきた。ビフランは、炭素原子4つと酸素原子1つでできた構造「フラン」2つが連結したもの。トウモロコシの芯やサトウキビの絞りかすなどを活用し、ビフランを合成。これを骨格にケイ素化合物を作り、さらに別の化合物と反応させて有機ケイ素高分子を開発した。

この有機ケイ素高分子が持つ紫外線吸収や蛍光発光という性質は、ベンゼン環にはみられないもの。紫外線を吸収するコーティング材料、電子材料、セラミックの一種の炭化ケイ素の前駆体などとして利用が期待されるという。

利用後についても、ビフランとケイ素の結合の切断を初めてリサイクルに活用することを発案した。ビフランは再利用可能。ケイ素も、コンタクトレンズやシャンプー、シリコーンオイルなどに幅広く使われる機能性材料「ポリシロキサン」とすることに成功した。

研究グループの群馬大学大学院理工学府の橘熊野(ゆや)准教授(高分子化学)は「さまざまに活用し得るバイオマス材料を開発した。既知の反応も、発想の転換でリサイクルに利用した。研究者や企業と用途を検討し、社会実装に向けた取り組みを加速したい」と話している。

成果は米化学誌「ACSマクロ・レターズ」に4月10日に掲載された。研究は科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の支援を受けた。

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