日本電信電話(以下、NTT)は4月26日、さまざまな場所に設置した無線アクセス装置を誰でも都度契約して利用可能とする、ブロックチェーンを用いた個人間の無線アクセス共用技術の実証実験に成功したことを報告した。

ブロックチェーンと無線アクセス技術の組み合わせにより、無線アクセス共用に関するインセンティブやセキュリティ、コストなどの課題が解決できると期待される。これまで難しかった個人間の無線アクセスの共用が可能となり、誰でも近くにある無線アクセスに接続して通信を利用できるようになると考えられる。

さらに、通信品質を落とさずに無線アクセス共用が可能になることで、将来のトラフィック増加にも対応し、社会全体で効率化された無線アクセスネットワークも実現できるという。社会全体の設備コストや消費電力の削減などにもつなげられるようだ。

実証実験の流れは以下の通りだ。まず、UE(User Equipment:無線端末)は無線信号を観測した周囲のBS(Base Station:無線基地局)のリストと自身のデジタル署名を付与し、通信契約のトランザクションを発行する。ここでは、仮接続したBSにトランザクションを送信している。

続いて、ブロックチェーンネットワーク上ではデジタル署名を検証することで、本人性確認を行い成りすましを防ぐとともに、要求内容に改ざんなどの不正が無いことを確認する。UEが送付したBSのリストから各BSの混雑度などを考慮して、適切な接続先(契約先)を決定し、この結果をBSおよびUEへ通知する。この一連の動作はブロックチェーン上のスマートコントラクトにより実行される。

この結果に基づき、BSとUEの間で通信契約が実行され、BSは通信の提供、UEは対価の支払を実行。なお、適切な接続先(契約先)の決定を行う部分はNTTの独自技術とのこと。また、今回はEthereum-PoA(Proof of Authority)を用いて実装している。

  • 実証実験のフロー図

    実証実験のフロー図

実証実験には、3台のBSと10台のUEを用いている。なお、各BSおよびUEはすべて管理者が異なる状態。今回の実証実験では、管理者の無線アクセスが混在している場合に対して、各UEが都度契約により通信を利用できることを確認している。

  • 実証実験環境の模式図

    実証実験環境の模式図

  • 実証実験の結果

    実証実験の結果