ServiceNow Japanは4月11日、Now Platformの最新版「Utah(ユタ)」の機能を解説する記者説明会を開いた。

Now Platformは、同社がSaaS(Software as a Service)で提供する業務アプリケーションの基盤となるクラウドプラットフォームで、製品バージョンアップを毎年2回実施している。今回は2023年の最初のバージョンアップとなり、2023年3月23日(米国時間)より製品が提供されている。

Utahでは、3つのコンセプトに則って複数の機能がリリースされており、説明会ではそのうちのハイライトが紹介された。

  • Now Platformの最新版「Utah(ユタ)」のリリースコンセプトと新機能

    Now Platformの最新版「Utah(ユタ)」のリリースコンセプトと新機能

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業務プロセス改善をAIで支援する「Process Optimization」

「Process Optimization」は、ITシステムや業務アプリケーションの管理者向けに提供される機能で、Now Platform上のアプリケーションを用いた業務プロセスの効率化を支援する。

同機能では、AIを活用したプロセスマイニング・ソリューションを使用して業務プロセスのマッピングと分析が可能だ。プロセスマップからは、業務フローにおける遅延やボトルネックを発見することができる。

  • 「Process Optimization」の利用イメージ

    「Process Optimization」の利用イメージ

ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の古谷隆一氏は、「プロセスのパスを個別分析したり、非効率性の根本原因を特定したりと実用的なインサイトを提供することで業務パフォーマンスの改善を支援する。同機能で得られたインサイトを活用することで、是正・予防措置を実施してコスト削減が可能になるだろう。同機能はNow Platformの1つ前のバージョン『Tokyo』で一部導入されていたが、Utahではプラットフォーム全体で利用できるようになった」と説明した。

  • ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長 古谷隆一氏

    ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長 古谷隆一氏

「Workforce Optimization」は、チームの作業量や人員のマネジメントをサポートする機能だ。こちらも、プラットフォーム全体で利用できるように機能拡張された。

同機能でチームのスキル、トレーニングの状況、スケジュールなどを可視化して、チーム内の作業量のバランス改善に利用できる。また、AIを活用したスキルや学習レコメンドも行える。

  • 「Workforce Optimization」の利用イメージ

    「Workforce Optimization」の利用イメージ

セキュリティインシデント管理のダッシュボードを新たに実装

Utahでは、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上を目的とした機能強化も実施されている。

「Theme Builder」は、NowPlatformueのワークスペースやダッシュボードなどに、企業別・ブランド別のテーマを作成・管理できる機能だ。ガイドに従ってテーマを自動生成し、設定したテーマや画像のプレビューも閲覧できる。

  • 「Theme Builder」の利用イメージ

    「Theme Builder」の利用イメージ

「Workplace Lease Administration」は、企業がリース契約しているオフィススペースの契約管理機能だ。オフィススペースの管理者は、単一のワークスペースで契約内容からオフィスの備品、設備、関連コストを統合管理できる。また、リース期間満了に伴う通知のタイミングをあらかじめ設定することもできる。

  • 「Workplace Lease Administration」の利用イメージ

    「Workplace Lease Administration」の利用イメージ

このほか、組織のアジリティ(敏捷性)や柔軟さを高める機能も新たに実装された。

「Health and Safety Incident Management」は、従業員の健康と安全に関する新ソリューションだ。業務中に起きた災害や事故、事故まで至らなかったヒヤリ・ハットなどの情報をNow Platform上で従業員から収集し、管理することができる。また、傷病記録による調査や根本原因分析が行えるツールも提供するほか、収集したインシデントログのエクスポートも可能だ。

  • 「Health and Safety Incident Management」の利用イメージ

    「Health and Safety Incident Management」の利用イメージ

「Security Incident Response Workspace」は、セキュリティアナリストやSOC(Security Operation Center)管理者向けに提供するセキュリティインシデントの管理ダッシュボードだ。ダッシュボードでは、セキュリティインシデントとワークロードの管理が行える。これにより、初期分析から封じ込め、根絶、復旧までの間に何が起こっているかをリアルタイムに把握できるという。

  • 「Security Incident Response Workspace」の利用イメージ

    「Security Incident Response Workspace」の利用イメージ

説明会では、ServiceNow Japan 執行役員 ソリューションコンサルティング事業統括 事業統括本部長の原智宏氏が、Utahのリリースにかける意気込みを語った。

「企業のテクノロジーを預かるリーダーは、ビジネス成長とコスト削減にまつわる複数の選択に迫られている。Utahのリリースの背景には、そうしたトレードオフの関係にある選択の両立を実現したいという考えがある。エンドツーエンドなプラットフォームを提供することで、ビジネス成長、コスト削減、すべてにYesと言える状況を提供していきたい」と原氏は述べた。

  • ServiceNow Japan 執行役員 ソリューションコンサルティング事業統括 事業統括本部長 原智宏氏

    ServiceNow Japan 執行役員 ソリューションコンサルティング事業統括 事業統括本部長 原智宏氏