新金属協会シリコン部会は3月28日、2022年の国内シリコン単結晶生産量は、前年比9%増の1万1360トンで前年に続いて過去最高を更新し、シリコン単結晶販売量についても同5%増の1万2522トンと過去最高を更新したと発表した。
内訳としては、海外向けが同9%増の8388トン、国内向けが同2%減の4134トンとなり、輸出比率は前年の65%から67%に拡大した。
また、2023年の国内単結晶生産については、上期は半導体市況の減速の影響を受けるものの、下期は半導体需要の回復を見込み、前年並みの1万1360トンと予想しているほか、シリコン単結晶販売量についても、前年並みの1万2520トンを見込んでいる。このうち、海外向けが同1%増の8470トン、国内向けが同2%減の4050トンとしている。日本製シリコンウェハに対する海外半導体メーカーの需要が増加し続けており、輸出比率が長年にわたり増え続けている点が注目される。
さらに多結晶の需要についても、半導体向けシリコンウェハ需要と同様に、前年並みの生産量になるとシリコン部会では予測している。
なお、シリコン部会のメンバーは、信越半導体、SUMCO、三菱マテリアル、トクヤマ、グローバルウェーハズ・ジャパン(台GlobalWafers日本法人)、シルトロニック・ジャパン(独Siltronicの日本法人)の6社である。
なお、シリコン部会では、今後のシリコン業界の課題について、「シリコン業界を取り巻く事業環境は、社会のデジタル化の進展、半導体微細化追求と3次元化、米中対立や台湾有事などの地政学的リスク、中国シリコンメーカーの台頭などさまざまな構造変化が起こっており、さらには世界的なインフレによる原材料高、国内固有の懸念事項として、世界的に割高な国内電力料金の問題もある。シリコン部会加盟各社は、需要構造変化への対応とともに、最先端半導体の高精度要求を満たす品質高度化、生産性向上と合理化による不断のコスト低減に取り組むとともに、環境負荷軽減に向けたパワー半導体需要にも対応していく」と述べ、以下の5つの課題に取り組むとしている。
- 需要構造変化と品質高度化への対応(1)最先端デバイスの高精度要求への対応、(2)環境・省エネルギー用パワー半導体への対応、(3)生産性向上と不断のコスト低減
- 世界的に割高な国内電力料金への対応
- 拡大する半導体市場への安定供給
- シリコン産業における人材確保
- 顕在化する地政学的リスクに対応したサプライチェーンの多岐化・安定化