富士キメラ総研が発行した市場調査レポート「機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」によると、半導体向けフィルム(バックグラインドテープ 、ダイシングテープ 、ダイボンドフィルム 非導電性接着フィルム、半導体封止用離型フィルムの5品目)の2022年の売上高は、前年比11.7%増の723億円となったという。

実装関連を除いた半導体向け機能性エレクトロニクスフィルム市場は、最終製品の市場軟化や半導体デバイスの在庫調整の影響はあったものの、世界的なインフレや為替の影響もあり、2桁成長となった模様である。今後について同社では、複数のDRAMチップをTSVで積層するHBMパッケージの需要増加や積層数の増加により、非導電性接着フィルムが伸びるとみていることに加え、半導体デバイスの高機能化に伴うFC-BGA基板の大型化や層数増加なども後押しとなるほか、2024年以降、シリコンウェハメーカーの生産能力強化が進むことが期待されており、市場が拡大。2026年には2021年比36.5%増の886億円まで拡大すると予測している。

また、実装分野でもセミアディティブ工法(SAP工法)で製造される半導体パッケージ基板のうちビルドアップ層の層間絶縁に使用されるフィルムの売上高および伸びが大きく、2022年の市場は前年比15.0%増の575億円、2026年には2021年比2.1倍の1027億円へと成長すると予測している。

なお、同社ではサーバや通信基地局向けCPUの高機能化に伴って、汎用品よりも単価が1.5倍ほど高い低誘電グレードの層間絶縁フィルムの採用が増加していることから、2026年に向けて市場拡大のけん引役になるとの見方を示している。