関西学院大学と豊田通商は3月22日、SiCパワー半導体デバイス向けウェハの研究開発会社「QureDA Research(キュレダリサーチ)」を設立したと発表した。
QureDA Researchは、関西学院大学 工学部の金子忠昭 教授が考案した「高温加熱によりウェハ表面の原子配列を並び替える非接触式の加工技術を取り入れたSiC基板の欠陥を無害化する表面ナノ制御プロセス技術Dynamic AGE-ing(ダイナミックエージング)」の“創る”と、ウェハの加工工程において生じる結晶表面の歪みを可視化する計測技術の“視る”を軸に、SiCウェハの高品質化、生産性向上、8インチに向けた研究開発を行うという。
これまでも両者は、関西学院が25年に渡り培ったSiC関連技術と豊田通商の持つ企業ネットワークを活用する形で、ユーザー企業およびメーカーが広く参画できる開発プラットフォームを構築し、技術開発および実証を行ってきたという。今回の新会社設立は、この開発プラットフォームを活用し、Dynamic AGE-ing技術を実用化するとともにSiCパワー半導体の工業化を加速することを目的としたものだという。
なおQureDA Researchの事業方針としては、両社が構築した開発プラットフォームを発展させ、国内外の企業と来たる大口径化(8インチ)を見据えたパワー半導体SiCウェハの新たな製造法を2025年に実用化することを目指すとともに、SiCウェハの高品質化、生産性向上といったさまざまな市場課題に対する最適なソリューションや知的財産権のライセンスを提供していくという。