最近の生成AI市場の盛り上がりを受け、TrendForceは市場調査を実施。「Trends and Challenges in Development of AI Applications as Seen from AI Generated Content(AIGC)」と銘打ったレポートを発行したという。
それによると、このトレンドはGPUとAIチップのサプライチェーン全体に利益をもたらすことが期待され、そこにはNVIDIA、TSMC、Unimicron、AIChipなどの半導体プレイヤーが含まれるとする。ただし、ユーザーエクスペリエンスは生成AI技術の中核であるが、個人情報保護とコンテンツ要求への応答の正確性に課題があることから、生成AIの開発が次の段階に移行するにつれて、当局の規制が強まる可能性があるともしている。
半導体業界の利益享受者は誰か?
生成AIは学習に大量のデータを必要とするが、高性能なGPUを大量に活用することで、その学習時間の短縮を図ることができる。ChatGPTの基盤となるGPTの場合、言語モデル開発に使用されるパラメータの数は、GPTで約1億2000万、GPT-2で約1500億、GPT-3では約1800億とされている。TrendForceの推定によると、2020年にGPTモデルが学習データを処理するために必要としたGPUの数は約2万個であったが、今後、GPTモデル(ChatGPT含む)の商用化に必要なGPUの数は3万個を超えると予測され、その計算の基礎としてNVIDIA A100以降が使用されるとしている。
このトレンドにより、GPUの需要は増加し、関連するサプライチェーンに利益をもたらすことが予想されるという。中でもNVIDIAが最大の利益享受者となることが予想される。同社のAI関連ワークロード用のユニバーサルシステム「DGX A100」は、5PFlopsの性能を提供し、ビッグデータ分析とAIアクセラレーションのトップチョイスになりつつあるとする。
AMDもデータセンターGPUであるInstincシリーズに注力しているほか、TSMCが先端プロセスを提供するファウンドリとして引き続き重要な役割を果たすことが予想される。また、台湾勢のNanya PCB、Kinsus Interconnect Technology、Unimicronなどはも、トレンドに対応できるABF基板サプライヤとして名前が挙がっている。
生成AIの市場成長性
TrendForceでは将来、開発の初期段階にある生成AIが主に、音声カスタマサービスや音声アシスタント、ゲーム、小売りなどのアプリケーションに適用されると予想しており、生成AIの継続的な成長は、次世代製品とサービスが消費者に革新的かつ実用的であると見なされるかどうかにかかっていると指摘している。
また、製品/サービス開発とは別に、生成AIに関わる業界は、機械学習に関する規制や学習リソースに関する課題に直面することになるともTrendForceでは指摘している。ChatGPTなどの製品やサービスを提供する企業が、ユーザーのデータプライバシーを保護し、ニュースなどの特定の種類のコンテンツが「正確」または「本物」であることを保証できるかどうかについては、すでに懸念があるとするほか、そうしたすでに顕在化している問題に加え、各国・地域の法律や規制を遵守する必要性といった問題もあり、そうした当局との兼ね合いも求められることが課題となるとしている。