東芝デバイス&ストレージは3月9日、エアコンや産業機器の大型電源で使用される力率改善(PFC)回路向けに、650V耐圧のディスクリートIGBT「GT30J65MRB」を開発、出荷を開始したことを発表した。

  • 東芝デバイス&ストレージの650V耐圧ディスクリートIGBT「GT30J65MRB」

    東芝デバイス&ストレージの650V耐圧ディスクリートIGBT「GT30J65MRB」のパッケージイメージ (出所:東芝デバイス&ストレージWebサイト)

消費電力の大きい家電や産業機器では、エアコンのインバーター化率の増加や産業機器用大型電源の低消費電力化が進んでおり、高効率のスイッチングデバイスの需要が拡大、低損失化とPFC回路でのスイッチング周波数の増加対応が求められるようになってきているという。

そうした課題に対し、同製品は、トレンチの微細化など内部構造を最適化した最新プロセスを採用することで、業界トップクラスとなる低スイッチング損失(ターンオフ損失)で、同社既存製品比で約42%の低減となる標準0.35mJを実現したという。また、ダイオード順電圧も同社既存製品比で約43%低減となる標準1.20Vに抑えたともしている。

  • スイッチング損失

    スイッチング損失(ターンオフ損失)の既存製品と「GT30J65MRB」の比較 (出所:東芝デバイス&ストレージWebサイト)

同社では、エアコンのPFC回路の場合、同社既存製品では40kHz程度以下の周波数で使用されているが、同製品を使うと、スイッチング損失(ターンオフ損失)の低減により、同社のPFC向けIGBTとしては初めて60kHz動作が可能になると説明しており、今後も市場動向に併せてラインアップ拡充を図り、機器の高効率化を支援していくとしている。