宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年3月7日、地球観測衛星「だいち3号」(ALOS-3)を搭載した日本の次世代基幹ロケット「H3ロケット試験機1号機」の打ち上げを実施した。
打ち上げ時刻は10時37分55秒。機体は打ち上げ116秒後に固体ロケットブースタ「SRB-3」の分離を実施した後、同211秒後に衛星フェアリングの分離を実施。実際のだいち3号の分離は打ち上げ後1002秒(約17分後)を予定しているが、打ち上げ後300秒過ぎ(約5分後)に予定している第2段エンジンの着火確認のアナウンスが流れておらず、JAXAが状況の確認を進めている。
H3ロケット試験機1号機は、当初2020年度の打ち上げを目指していたが、メインエンジンであるLE-9に技術的課題を確認。その解決のために2度の打ち上げ時期の延期となったが、2023年2月17日に打ち上げに挑戦。カウントダウン中、LE-9への点火後、機体が異常を検知。SRB-3への点火信号を送信直前に、以降のシーケンスの停止命令が出され、打ち上げを中止していた。
その後、問題がフライトロックインの直後に、機体と地上設備との電気的離脱が行われる際、地上との通信・電源ライン遮断時の過渡的な電位変動が影響し機体制御コントローラ(V-CON1)が誤作動したものと推定。対策を施し、射場に機体移動後、対応策の最終的な検証を実施し、問題ないことを確認し、今回の打ち上げに挑んだ。