香川県と同県高松市、日本IBMは3月1日、地域のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、デジタル人材の育成と雇用創出、円滑な事業活動への協力、地域経済への貢献を図るために立地協定を締結した。

今回の締結により、日本IBMは地方自治体や顧客、地域の協力会社との共創を通じてDXを推進する「IBM地域DXセンター」の四国地方初の拠点を、2023年7月に香川県高松市に新設する予定だ。

香川県では、魅力ある県外企業の立地を推進し、新たな雇用の創出や地域経済の発展につなげていくため「企業誘致の基盤となる用地の確保」「立地企業の活動を支える交通・物流拠点網の充実」「企業が求める人材確保の支援」「県独自の企業立地優遇制度による支援」「ワンストップサービスの充実や各種技術支援」の5つを柱としたアクションプラン「せとうち企業誘致100プラン」を2023年度末までにまとめることとしており、こうした方針のもと、現在、戦略的な企業誘致を進めている。

また、高松市では若い世代が魅力を感じる情報通信関連企業などの誘致を促進するため、設備投資に対する助成率の引上げや、雇用要件の緩和、事務所賃借料の補助の創設といった助成制度を拡充し、首都圏を中心とした企業の誘致に積極的に取り組んでいる。

IBM地域DXセンターは、日本IBMのグループ会社である日本アイ・ビー・エム デジタルサービス(IJDS)が主体となり、AIを活用した次世代超高速開発によるプロジェクト管理の効率化や開発者向け最先端のプラットフォーム(RedHat OpenShift on IBM Cloud)、DevSecOpsツールを活用したセキュアなソフトウェア開発などのテクノロジー・手法を活用しながら、システム開発と運用の高度化を目指す。

さらに、リモートでの開発体制整備や自動化などのテクノロジーを取り込んだ「ダイナミック・デリバリー」による新しい働き方を実現し、地域の人材育成とDX推進を支援していく。

今回、高松市に新設するIBM地域DXセンターでは「地域DX人材育成プログラム」を、自らDXスキル向上に取り組み、地域の企業への就職を目指す個人に無償で、企業全体のDXスキルを底上げする目的で高度な研修を希望する法人には有償で提供する。

  • 「地域DX人材育成プログラム」の概要

    「地域DX人材育成プログラム」の概要

DX人材に必要となる知識やスキルを習熟度別に整理し、リスキリング(学び直し)のオンライン学習プラットフォーム「IBM SkillsBuild」やコミュニティ「IBM Community Japan」などを、アイ・ラーニングの研修を組み合わせて提供することで、DXスキル習得促進のみならず自治体と協業した地元企業への就労、企業のIT人材のDX領域へのリスキリングを支援する。

一例として、DX推進を担うスペシャリストの育成として、クラウドエンジニア向けにIBM SkillsBuildのオンライン学習と課題解決型学習を組み合わせた研修を無償で提供し、IBMの専門家が技術指導することで受講者のスキル取得をサポートする。

さらに、IJDSではシニア層を含むITエンジニアの経験者採用枠を拡大し、働く場所を問わないフルリモートの勤務体系に加え、年次の雇用契約により最大65歳まで働ける人事制度を導入している。

地域へのUターンやIターンを後押しし、自身や家族の事情と仕事を両立しつつ、フレキシブルかつ最大限に能力を発揮できる環境を提供することで、雇用の創出と地域活性化に取り組む考えだ。

なお、IBM地域DXセンターは2022年1月から北海道札幌市、沖縄県那覇市、宮城県仙台市、福岡県北九州市に展開し、2023年5月の開設予定で広島市、香川県高松市が6カ所目となり、今後もさまざまな地域での開設も予定している。