Armは2月8日(英国時間)、2022会計年度第3四半期(10-12月期)の業績を発表した。

それによると、売上高は前年同期比28%増の7億4600万ドルで、パートナーによるArmベースの半導体チップの出荷数は過去最高となる80億個を達成し、累計出荷個数2500億個も達成したという。

また、ライセンス収入は同65%増の3億ドルで、主要顧客4社(自動車メーカー、クラウドサービスプロバイダー、大手マイクロコントローラーメーカー、家電向け半導体ベンダー)との新規の戦略的長期契約が寄与したとする。

さらに、ロイヤルティ収入は同12%増の4億4600億ドルで、サーバや車載などでの強い需要に加え、プレミアムスマートフォン(スマホ)やクラウドサーバ用途におけるArmv9プロセッサ技術への支持がけん引したという。

加えて、オートモーティブ、クライアント(消費者向け最終商品)、インフラストラクチャ、IoTのすべてのターゲット市場において2桁から3桁パーセントの増収を達成したとしている。

ロイヤリティ部門は、PCやスマホの市場減速の影響を受けたものの、ハイエンドスマホ向けプロセッサのロイヤリティは高めに設定されているため、Armの業績は最終的にプラス成長となったという。同社ではスマホ市場が頭打ちになるなか、データセンターや車載など新規分野に注力して、多角的な成長を目指している。同社CEOのRene Haas氏によると、Armの車載エンターテインメント・システム用チップの市場シェアは85%、運転支援用途のチップのシェアは55%に達しているという。

  • Armの2022会計年度第3四半期の業績概要

    Armの2022会計年度第3四半期の業績概要 (出所:Arm)

また、同氏は、「ArmのCEOとしての1年目が終わろうとしている今、コンピューティングの未来を形作る上での、私たちのチーム、パートナー、そしてエコシステムの素晴らしい貢献に対して深く感謝する。すでに2500億個のArmベースチップが世界の変革に寄与しているが、私たちはさらに大きなインパクトを与え、再び世界を変えるための態勢を整えている。世界のデータセンター、IoTシステム、自動車、次世代コンシューマー機器では、ますます電力効率の高いコンピューティング能力が必要とされており、Armテクノロジーとイノベーションに対する長期的な需要が高まっている。この好調な業績は、Armで未来を築くための、社内のあらゆるチームによるハードワークと継続的な努力の証といえる」とコメントしている。

なお、業界の関係者の間では、Armが2023年にIPOを行うことを計画しており、そのための準備も順調に進んでいることから、市況などを見てから確定的な日付をどこかのタイミングで発表するとの見方が出ている。また、この件に関して、英国政府やArmの親会社であるソフトバンクからの了解も得られているという。