東京都とDigital Innovation City協議会(DIC協議会)は1月26日、次世代モビリティの一般参加型イベント「未来を乗りにおいでよ。次世代モビリティのまち体験」のオープニングイベントを日本科学未来館(東京都江東区)で開催した。イベントには東京都知事の小池百合子氏らが出席した。

誰もが安心して自由に移動できる都市「東京」へ

今回のイベントは東京都とDIC協議会に加え、先進モビリティ(事業プロモーター:日本工営)、WILLER、BOLDLY、日本科学未来館、Le DESIGNが共同で開催する。

DIC協議会は東京都(港湾局)、エリアマネジメント、研究機関、地元企業といった臨海副都心に関わる団体等が連携し、臨海副都心における「デジタルテクノロジーの実装」や「スタートアップの集積」を推進するDigital Innovation Cityの実現に向けて協議することを目的として設立した組織。

小池都知事は「東京都は都市が抱える課題の解決に向けて、多様かつ新たな技術の導入を進めている。その一環として、自動運転技術を活用した次世代モビリティによる移動サービスの実現を目指している。臨海副都心エリアにおいて、さまざまな次世代モビリティを実装することで街のにぎわい、回遊性の向上を図る。年齢、障害の有無にかかわらず、誰もが安心して自由に移動できることが東京を持続可能な都市へと高めていく流れを作れればと考えている」と述べた。

  • 東京都知事の小池百合子氏

    東京都知事の小池百合子氏

4つの体験イベントを実施

同イベントは、東京臨海副都心 公道とシンボルプロムナード公園内で「自動運転EVバスで移動しよう!お台場回遊プロジェクト」「コンパクトな自動運転EVバスによるお台場シティバリューアッププロジェクト」「ナビゲーションロボット『AIスーツケース』屋外走行プロジェクト」「小型自動運転モビリティ『PARTNER MOBILITY ONE with PiiMo』走行プロジェクト」の4つが体験できるというもの。

自動運転EVバスによる回遊プロジェクト

自動運転EVバスによる回遊プロジェクトでは、中国の自動車メーカーであるBYDが日本の交通需要にフィットするように開発した小型電気バス「J6(ジェイシックス)」に、先進モビリティの自動運転システム、各種センサを搭載して公道を走行する。

  • 自動運転EVバスの外観

    自動運転EVバスの外観

走行ルートは東京テレポート駅を起点に台場地区の商業施設を結ぶ北ルート、同駅を起点に青海地区の日本科学未来館を結ぶ南ルート、運航頻度は北ルートを7往復、南ルートを6往復し、実施期間は1月29日(27日は運休)まで。

  • 自動運転EVバスによる回遊プロジェクトの概要

    自動運転EVバスによる回遊プロジェクトの概要

実勢速度が比較的速く、大型車混入率が高い交通状況下においても円滑な運航を実現するとともに、広域な循環バスに比べ、短時間で移動の需要が多い2つの施設をピンポイントに結ぶ移動ニーズを確認。将来的には既存路線を運行する事業者の協力を得て、2つのルートを一体にとらえ、同駅での待機時間を最小限に抑えることで回遊を促進するルートなどに設定することを目指す。

コンパクトEVバスによるシティバリューアッププロジェクト

コンパクトEVバスによるシティバリューアッププロジェクトでは、フランスの自動運転バスメーカーであるNAVYAが提供する乗車定員14人、最高速度19km/時の自動運転シャトルバス「ARMA(アルマ)」で周遊する。

  • 「ARMA(アルマ)」の外観

    「ARMA(アルマ)」の外観

走行ルートは、アクアシティお台場・ヒルトン東京お台場-国際クルーズターミナル駅-東京テレポート駅、同駅-夢の大橋-武蔵野大学となり、運航頻度は平日4本、休日8本、実施日程は休日コースが1月28日、同29日、2月4日、同5日、平日コースは1月30日、2月2日、同3日、同6日。

  • コンパクトEVバスによるシティバリューアッププロジェクトの概要

    コンパクトEVバスによるシティバリューアッププロジェクトの概要

周遊性を高めるとともに、自動運転の受容性も高めることを目的に謎解きスタンプラリーや試乗で貰えるお得なクーポンなどを実施。今後の展望として、実証を通じて技術面・事業性・社会的効果を検証し、シティバリューの向上につなげる考えだ。

AIスーツケースの屋外走行プロジェクト

視覚障害者を目的地まで自動で誘導するスーツケース型のロボットであるAIスーツケースの屋外走行プロジェクトは、街中での運用を目指し、屋外で実証を行う。実施日程は1月28日~2月6日(1月31日、2月1日、2月5日は運休)まで。通常、屋内ではLiDAR(Light detection and ranging:光による検知と測距)を利用するが、屋外では人工衛星から基準局に送られる測定データを活用したほか、車輪も大きくしている。

  • AIスーツケースが屋外を走行する仕組み

    AIスーツケースが屋外を走行する仕組み

AIスーツケースの考案者でもある日本科学未来館 館長の浅川智恵子氏は「自分自身の視覚障がいの経験を活かして、これまでアクセシビリティ向上に取り組んできた。発明と社会実装は分けることができない車の両輪といわれており、研究成果は社会に実装されるべきだと考えている。AIスーツケースは視覚障がい者の自由な移動を目指して研究開発を進めており、テクノロジーだけでは解決できない壁があると感じている。今回の取り組みにより、壁の1つと感じていた屋外における実証を初めて行うことができる。新しい技術を本当に役に立つものにするためには研究者だけでなく、社会のさまざまなセクションの協働が必要となるため、仲間が増えることを期待している」と力を込めていた。

  • 日本科学未来館 館長の浅川智恵子氏

    日本科学未来館 館長の浅川智恵子氏

公共交通機関と目的施設を結ぶ街歩きを想定し、未来館を起点にテレコムセンター駅付近まで体験者を誘導して走行する。1日に運行する3便のうち、2便は視覚障害者を対象とし、体験後はアンケート調査を行うことで今後の研究開発に役立てる方針だ。

  • AIスーツケースを体験する小池都知事

    AIスーツケースを体験する小池都知事

小型自動運転モビリティ走行プロジェクト

小型自動運転モビリティ走行プロジェクトは、久留米工業大学インテリジェントモビリティ研究所とパーソルクロステクノロジー、Le DESIGN(久留米工業大学発ベンチャー)の3者が共同で開発したPARTNER MOBILITY ONEを利用。

  • 「PARTNER MOBILITY ONE」の外観

    「PARTNER MOBILITY ONE」の外観

  • 「PARTNER MOBILITY ONE」に乗車する小池都知事と浅川氏

    「PARTNER MOBILITY ONE」に乗車する小池都知事と浅川氏

パナソニックのロボティックモビリティ「PiiMo」とともに、臨海エリアにおけるインクルーシブな観光サービスの利便性評価を行い、エリアの魅力を伝える観光ガイドによる地域活性化の可能性も探る。実施日程は1月28日~2月6日(1月31日、2月1日、同5日は運休)まで。

  • パナソニックの「PiiMo」

    パナソニックの「PiiMo」