京都大学(京大)は、幼児を対象とした研究で、外見以外の性格に関する情報が、見た目の可愛さや印象、養護欲求に影響することを実証したことを発表した。

同成果は、同大 教育学研究科の高松礼奈 助教、同 楠見孝 教授、大阪大学大学院人間科学研究科 入戸野宏 教授らの研究グループによるもの。詳細は米オンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載された

赤ちゃんや子どもの頭の割合が大きかったり、頬がふっくらしていたりといった幼い外見は、大人にかわいいといった感情を抱かせ、お世話したいという養護欲求を高めるベビースキーマ効果があるとされている。しかし、ベビースキーマ効果が強いはずの3歳以下の乳幼児が、虐待されるなどといったことも起こっており、なぜそうしたかわいい存在である子どもたちが養護の対象外となるのかが謎となっていたという。

そこで研究グループは今回、ベビースキーマ効果モデルでは考慮されていない外見以外の要因、性格に関する情報が関わっている可能性を踏まえた実験を行うことにしたという。

具体的には、20〜40代の女性72名(実験1:子どもあり31.9%)、108名(実験2a、2b:子どもあり42.8%)を対象にオンラインにて実験を行ったという。実験前に、子どもの顔写真を呈示し、かわいさ、印象についての評価を実施(プレ評価)。その後、子どもの顔と性格情報(ポジティブ・ネガティブ・情報なし)を対で呈示し、子どもの顔に性格の情報を付随させる情報操作を実施し、再びかわいさ、印象についての評価を行ったという(ポスト評価)。

その結果、かわいい評価と印象得点(例えば人懐っこいや賢い)は、外見は同じであっても好ましい性格を持った子どもに対して高くなり、好ましくない性格を持った子どもに対して低くなることが判明したほか、好ましくない性格情報が、かわいい感情の低下を通し、お世話をしたいという気持ちの低下を予測させる結果を示したという(実験1)。

  • 性格についての情報操作とかわいい評価の関係性

    実験1:性格についての情報操作とかわいい評価の関係性 (出所:京大プレスリリースPDF)

さらに、もともと(ベースライン)の外見のかわいさ評価を踏まえた3群に子どもを分け、性格に関する情報の効果に持続性があるかどうかの調査を目的に、1週間後にも同じ項目についての評価を実施。その結果、好かれたり良い子とされる内容を含むポジティブな性格条件では、かわいさ、友好さ、賢さの評価が上がった一方、嫌われたり悪い子とされる内容を含むネガティブな性格条件では、3つ指標の評価が下がる傾向が確認されたとする。さらに、ネガティブな性格情報の効果は、もともとのかわいさに関係なく、1週間後のかわいい評価にも影響していることが確認されたとする(実験2)。

  • 3群に分けた後の性格についての情報操作とかわいい評価の1週間後の関係性

    実験2:3群に分けた後の性格についての情報操作とかわいい評価の1週間後の関係性 (出所:京大プレスリリースPDF)

なお、研究グループでは、今回の研究について、「かわいさは見た目だけではない」という日常的な直感を実験によって裏づけたものだと説明しているほか、これまでの研究から、虐待リスクの高い養育者は、うつ状態と育児ストレスが高めで、子どもの言動を悪く捉えがちであることがわかっており、そうした状態で子どもの悪い面に注目してしまうと、子どもに対してかわいいと感じ、お世話したいという気持ちが持続的に低下してしまう可能性が示されたとするほか、逆にその子どもの良い面についての情報が入ってくれば、元のお世話したいという気持ちを回復させることができるかもしれないともしており、育児や生活について悩んでいる養育者を1人にせず、多くの子どもたちが幸せな子ども時代を過ごせる世界の実現につながればと思っているとコメントしている。