理化学研究所(理研)は、科学的根拠に基づく赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけのヒントを発見したことを発表した。

同成果は、理研 脳神経科学研究センター 親和性社会行動研究チームの大村菜美研究員、同・黒田公美チームリーダーらの国際共同研究チームによるもの。詳細は、ヒトを含めた生物に関する全般を扱う学術誌「Current Biology」に掲載された。

赤ちゃんが泣くのをあやして寝かしつける方法として、おんぶや抱っこ、ベビーカーでの散歩など、さまざまな方法が考えられるが、それらの効果を科学的に検証した研究は意外なほど少なく、効果的な方法はよくわかっていなかったという。

そうした中で黒田チームリーダーらが2013年に報告したのが、親が赤ちゃんを抱っこして歩くと、泣きの量が減りおとなしくなる「輸送反応」という現象だという。野生動物でも見られる現象で、外敵が迫っているなどの危険な状況で子どもを運ぶことが多いため、子も暴れたり騒いだりせず、親が運びやすいように協力していることが考えられるという。

しかし当時の研究では、20秒間ほどの短時間の輸送の効果しか調べておらず、親が抱っこして歩くことで泣きが減っても、歩くのをやめると赤ちゃんはすぐにまた泣き始めていた。そこで研究チームは今回、より長い輸送や、異なる方法での輸送が、赤ちゃんの泣きや生理指標に与える効果を調べることにしたという。

今回の研究では生後7カ月以下の赤ちゃん21人とその母親が参加。赤ちゃんを「抱っこして歩く」、「抱っこして座る」、「ベッドに置く」、「ベビーカーに乗せて前後に動かす」という、動きと抱っこの有無を組み合わせた4つのタスクをランダムに行い、そのときの赤ちゃんの状態と心電図の記録が取られた。

それぞれのタスクを30秒間行った際の、赤ちゃんの状態が声や眼の開閉から解析されたところ、激しく泣いていた赤ちゃんに、もっとも効果のあった抱っこ歩きを5分間行うと、全員が泣きやみ、45.5%が寝てしまうという結果を得たほか、18.2%の赤ちゃんは歩くのをやめたときには起きていたが、それから1分以内に寝たともする。

  • 赤ちゃんに4つのタスクをそれぞれ30秒間行った結果

    赤ちゃんに4つのタスクをそれぞれ30秒間行った結果。(A)実験で行った4つのタスク。(B)泣いている赤ちゃんに4つのタスクを行ったときの最初と30秒間後の状態スコアの推移。(C)泣かずに起きている赤ちゃんに4つのタスクを行ったときのはじめと30秒間後の状態スコアの推移 (出所:理研Webサイト)