海洋研究開発機構(JAMSTEC)と国立極地研究所(極地研)の両者は12月23日、小惑星「リュウグウ」から採取した試料について、希少性が高く重要な水を多く含む「イブナ型炭素質隕石(CI型隕石)」と同じ酸素同位体比を持つことを共同で明らかにした。また2者は、これまでリュウグウ試料とCI型隕石は非常に近い化学組成を持つことが発表されていたが、今回の結果でも整合的な結果が得られたとしている。
同成果は、英・オープン大学のリチャード・C・グリーンウッド博士、JAMSTEC 高知コア研究所の伊藤元雄主任研究員、極地研の山口亮准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の天文学術誌「Nature Astronomy」に掲載された。
サンプルリターンミッションによる地球外天体からの帰還試料の受け入れと管理を主目的として設立されたのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究所の地球外試料キュレーションセンター「ESCuC」だ。現在は「はやぶさ2」のPhase-2キュレーションとして、ESCuCとJAXAキュレーション専門委員会が選定した連携拠点機関(JAMSTEC 高知コア研究所を中心とした連携研究機関、岡山大学惑星物質研究所)がを行うための協力体制を作っている。
Phase-2キュレーションでは、ESCuCと協働で、キュレーション活動に資する大気非曝露環境下での試料配分容器、輸送・搬送機器や分析技術の開発が行われている。また、それぞれの機関によって開発された高度分析技術を用いてリュウグウ試料の詳細な物質科学的記載を進め、同試料から得られる科学成果を最大化することも目的としている。
そして、Phase2キュレーション高知における国際共同研究の一環として行われているのが、オープン大学のグリーンウッド博士が率いて進めるリュウグウ試料の分析だ。研究は2021年6月にスタートし、日英米などの研究者が参加している。