TSMCの魏哲家(C.C.Wei)・最高経営責任者(CEO)が12月17日に台湾で開催された「The New Challenges in the Semiconductor Industryフォーラム」(主催:Mount Jade Global Science and Technology Association)で講演し、日本に工場を建設する理由について、「当社の重要なサポートしなければならない顧客が日本におり、またその顧客は、当社の重要な顧客のサプライヤでもある」と述べたと台湾の複数メディアが報じている。

魏氏は具体的に企業名を出さなかったが、重要な顧客とは米アップル(Apple)で、そのAppleをサポートしなければならない顧客とはソニー(Sony)を指しているものと見られる。

TSMCの日本進出の背景にAppleの要請

同氏は、「日本は低コストで製造できる場所ではない」としつつも、日本でのファブ建設を決定したのは、顧客ニーズを優先することが常にファウンドリの中核的な考慮事項であり、主に最大顧客(Apple)からの要請があったためだとしている。TSMCの日本の顧客としてソニーがおり、かつソニーはTSMCの最大顧客(Apple)の主要サプライヤであり、TSMCは最大顧客の生産スケジュールに影響を与えないよう、ソニーを全面的にサポートし、その製品供給を円滑にできなければ、Appleからの相当数の3nm/5nmプロセス製品の受注にも影響が出る可能性があるためだとしていう。

また、日本でのファブ建設における最大の問題は、人材不足であると指摘。この問題の解決に向け、200人以上の日本人エンジニア(ソニーセミコンダクタソリューションズからの出向社員を含む)をTSMCの台中工場で育成しているとするほか、TSMCからも500~600人規模のエンジニアを熊本工場(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing:JASM)に派遣する予定だとしている。

Rapidusの2nm生産は不可能でないが困難な道のり

なお、会場からの質問として、日本が米国と半導体アライアンスを組んで2nmプロセス技術での生産を目指すことについて出されたのに対し同氏は、「(日本に欠けている40nm以降のロジックのうち、28nm~12nmはJASMがカバーするものの)日本には10nm、7nm、5nm、さらには3nmプロセスの技術開発ロードマップが存在しない。日本は、リープフロッグを狙っているらしいが、企業や国が半導体製造において近道をすることは不可能ではないとは思うが、その道は険しいだろう。それ以上のことは(情報がないので発言を)控えたい」と述べたという。