米国の電子材料市場調査およびアドバイザリー会社であるTECHCETは、InfineonやSTMicroelectronicsやIntelなどの半導体製造企業が欧州で生産能力拡大を続けているため、同地域の化学物質の需要が増しており、入手に対する負担が増大すると予想していると発表した。
2022年初めにIntelがドイツでのファウンドリ構築を発表したのに続いて、Samsung FoundryやTSMCは、欧州でのファブ建設の検討を始めていると伝えられている。エネルギーコストの上昇と経済活動の低下という短期的な問題が現在ヨーロッパの半導体産業に影響を与えているため、半導体工場が将来の成長にむけ欧州での製造へ投資するためには、この地域の潜在的な化学物質と材料の供給問題に対処する必要があるとTECHCETは指摘している。
TECHCETの最新分析レポート「ヨーロッパのウェットケミカルサプライチェーンに対するチップ拡張の影響」で指摘されているように、欧州でのファブの拡張には、化学薬品サプライヤーへの投資のサポートが必要になるという。レポートの中で、TECHCETは欧州の主要なチップ製造業者への聞き取りで、6つの化学物質が供給中断のリスクが最も高いと見なされると述べている。これらの化学物質は、塩酸(HCl、液体および気体)、硫酸(H2SO4)、フッ化水素酸(HF)、水酸化アンモニア(NH4OH)、およびイソプロピル アルコール(IPA)だという。
過去数年間、欧州のエレクトロニクス・ウェットケミカル(およびガス)サプライチェーンは、ますます頻繁に中断に苦しんでおり、多くの理由で悪化すると予想されていた。1つは、化学薬品およびガスの供給業者が、地元のウェットケミカルの供給のために古い施設をアップグレードするために投資することに関心を持っていないことが挙げられるという。さらに、物流の問題に悩まされているアジア/中国への依存度が高まっている。加えて、厳しい環境規制により、企業が追いつくことが難しくなっていることが挙げられるという。