東京工業大学(東工大)、長岡技術科学大学(長岡技科大)、豊橋技術科学大学(豊橋技科大)は11月21日、「三大学科学技術人材育成連合」の結成を発表。同日、東工大蔵前会館にて結成に関する覚書の締結式を開催した。

  • 三大学科学技術人材育成連合を結成した三大学の学長。左から、長岡技科大の鎌土重晴学長、東工大の益一哉学長、豊橋技科大の寺嶋一彦学長

    三大学科学技術人材育成連合を結成した三大学の学長。左から、長岡技科大の鎌土重晴学長、東工大の益一哉学長、豊橋技科大の寺嶋一彦学長

日本産業を支えるイノベーション創出人材の輩出へ

三大学科学技術人材育成連合は、日本および世界の産業を支える先導的な人材育成と、新しい科学技術領域に関する研究のさらなる推進を目的としたもの。基本的理念には、「持続可能な発展が求められる現代において、日本の産業を支えるイノベーション創出人材、特に科学技術を基盤に社会を先導する人材の育成に資する教育研究体制の確立」を掲げている。

なお具体的な目標としては、学生の選択の幅の拡大・国際的な水準での新しい研究成果の達成・研究成果の社会実装・海外の大学との提携による教育研究の発展や向上を挙げた。

  • 三大学の連合結成に関する覚書締結式の様子

    三大学の連合結成に関する覚書締結式の様子

世界に出ていくには地方と一体で取り組む必要がある

東工大の益一哉学長は、パワー半導体などの領域で強みを持ち、東工大とは研究設備の共用や高度技術者育成において連携している長岡技科大、そして、半導体の製造ラインを保有し、半導体産業復興に向けた「集積Green-niX(グリーンニクス)研究・人材育成拠点」で東工大と連携する豊橋技科大との連合結成によって、「各大学の発展のみならず、それぞれの地域から日本の発展に貢献することができるのではないか」と考えたとのことで、益学長自ら両大学の学長へ提案したと語る。

また、東工大の教育網が東京やその周辺を中心に広がっていることから「日本の産業が世界に出ていくためには、地方と一体で取り組む必要がある」とし、全国の高専から学生が集まる長岡技科大・豊橋技科大との協力によって「全国の英知を結集できる」とする。また反対に、「地方で起業されたベンチャーなどが世界に打って出る際には、東工大が位置する東京を起点としてもらうことができる」と、都心と地方の双方向でメリットが生まれるとしている。

  • 三大学連合の結成意図や経緯を語る益一哉学長

    三大学連合の結成意図や経緯を語る益一哉学長

連合結成を受けた具体的な取り組みとしては、講義の単位互換や、教員および学生の交流活発化が挙げられる。なお益学長は、今回の連携では法人統合を想定しておらず、大きな枠組みとしての提携になることを強調した。