米Oracleは今年、3年ぶりに、米国ラスベガスで年次イベント「Oracle CloudWorld 2022」を開催した。同イベントでは毎回、同社の主力製品に関する発表が数多く行われる。
そこで、日本オラクルは11月14日に説明会を開催し、同イベントで発表された、Oracle Fusion Cloud Applicationsに関する注目のトピックを紹介した。
常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の善浪広行氏は、「Oracle CloudWorld 2022」について、「名称が刷新され、開催地もサンフランシスコからラスベガスに変わった。オラクルの戦略が整理された年になり、第2の創業期を迎えていると感じた」と、大きな変化が見られたことをアピールした。
CEOのサフラ・キャッツ氏をはじめとする経営陣が、基調講演でパートナーとのエコシステムを強調していた点もこれまでとは異なるスタンスだったという。
先に開催されたOCIに関する説明会でも、常務執行役員 クラウド事業統括 竹爪慎治氏が同様の内容を語っており、「Oracle CloudWorld 2022」は日本オラクル幹部にインパクトを与えたようだ。
顧客の成功のために開発を進める「Oracle Fusion Cloud Applications」
善浪氏は、Oracle Fusion Cloud Applicationsについて、同製品の開発戦略「必要なものを全て提供、イノベーション実現のために、お客様の成功のために」に基づいて、「Oracle CloudWorld 2022」で行われた発表のポイントを説明した。
「必要なものを全て提供」については、「Oracle Applications Platform」のRedwood UXコンポーネントとサービスを活用し、「Oracle Fusion Cloud Applications」内のアプリケーションの拡張が可能になったことが発表された。
「Oracle Applications Platform」には、Redwood参照アプリケーション、ページ・テンプレート、コンポーネント・リポジトリ、参照アーキテクチャ、設計ガイドなどのUXリソースが用意されている。
また、エンド・ツー・エンドの企業間(B2B)取引を統合・自動化するサービス「Oracle B2B Commerce」も発表された。同サービスを利用すると、「Oracle Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」を介して4万を超える取引先やサービス・プロバイダーと直接つながることができる。
同サービスについて、善波氏は「エコシステム、パートナーシステム拡大の文脈の流れにある」と説明していた。
「イノベーション実現」に向けては、アナリティクス・サービスの強化が紹介された。「Oracle Fusion Analytics」の新機能は、CX、ERP、HCM、SCM Analyticsにまたがっている。同機能により、ベストプラクティスに基づく2,000以上のKPI、ダッシュボード、レポートを含む事前構築済みライブラリを利用して、目標に対するパフォーマンスを監視することができるという。
「顧客の成功」に向けては、「Oracle Fusion Cloud Applicationsの新機能の8割が顧客のフィードバックに基づくもの」と、善波氏は語っていた。
ERP、SCM、HCM、CX関連のセッションのポイント
続いて、執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 ソリューション・エンジニアリング事業本部 三谷英介氏が、各サービスの発表のポイントを紹介した。
Oracle Cloud ERPに関する発表としては、「Oracle B2B Commerce」が挙げられた。同サービスはさまざまな外部サービスと連携し、新たな市場を創出するという。
「Oracle B2B Commerce」は、J.P. Morgan Paymentsのビジネスとの統合が発表されており、統合されたバンキング・サービス、J.P. Morganトラベル・カードおよび経費サービスを提供する。加えて、FedEx Compatibleプログラムの一環として、計画されているロジスティクス・サービスも提供される。 「Oracle Cloud SCM」に関する発表としては、SCM業務をデータソースとしてESGを支える仕組み「Oracle ESG Intelligence framework」が紹介された。これは、「ESGレポート、目標、計画の管理」「ESGデータを集約して戦略的イニシアチブをサポート」「企業全体でESGを運用可能」「カーボンニュートラルなテクノロジーと高度なツールを活用」といったことを実現するもの。 現在、「ESGデータを集約して戦略的イニシアチブをサポート」するため、レポートからアナリティクスに拡張する分野を開発中だという。それ以外については、既にサービスを提供している。
三谷氏は「サステナビリティは、すべての経営プロセスにおいて取り組む必要がある。われわれはエンド・ツー・エンドでカバーする。テクノロジーレベルでも価値を提供できるのがオラクルの強み」と語っていた。
「Oracle Fusion Cloud CX」については、講演で、マーケティング、セールス、サービスが連携し、ERP・SCM・HCMに接続し、セールスを改善し、サービス提供をモダナイズすると語られたという。三谷氏は「Oracle Fusion Cloud CXにおいては、買収した企業のソリューションを統合していく」と説明した。
新製品としては、ハイテクおよび製造業における資産ダウンタイム防止の自動化を支援するため、Asset-Based Service for High Tech and Manufacturingは、Oracle Fusion Serviceに、Oracle Fusion Cloud Supply Chain &Manufacturing(SCM)の機能が統合されたサービスが発表されたという。