スタンレー電気と京都大学(京大)は11月7日、共振器としてフォトニック結晶を用いた半導体レーザーである「フォトニック結晶レーザー」をGaN系材料で構成した結果、青色かつワット級出力ながら高ビーム品質を実現したレーザーの発振に成功したと発表した。
同成果は、スタンレー電気の江本渓研究員、同・小泉朋朗研究員、京大大学院 工学研究科の野田進教授、同・メーナカ・デ・ゾイサ講師、同・崎賢司特定准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の材料科学全般とその関連分野を含めたオープンアクセスジャーナル「Communications Materials」に掲載された。
GaN系材料を用いた半導体レーザーは、広く普及しているが、従来の端面発光型レーザーは、高出力化目的で光出射面積を拡大すると、ビーム品質が劣化するという問題を抱えていた。また、ビーム形状は楕円のため、レンズなどの複雑な光学系を用いる必要があり、応用の幅を制限していたという。
フォトニック結晶レーザーはそうした課題を解決できることから、研究チームも開発に力を入れており、これまでにGaAs系材料を用いて、赤外線で動作する10W~数10W級の高出力・高ビーム品質動作を実証済みのほか、青色で動作するGaN系フォトニック結晶レーザーも、基礎的な動作実証に成功したことを報告していたという。しかし、GaN系フォトニック結晶レーザーはしきい値電流密度が高く、また出力もミリW以下にとどまっており、十分な特性が得られていなかったとのことで、今回の研究では、同レーザーのワット級高出力・高ビーム品質化の実現を目指すことにしたという。