東芝は2月19日、グループ全体の視点で長期的な技術戦略を策定し、先端・基盤技術の研究開発を担ってきた3つの「コーポレートラボ」と、事業会社で事業に直結した応用・商品技術開発の中核を担ってきた2つの「ワークスラボ」を2025年4月1日付で「総合研究所」として集約することを発表した。

総合研究所に集約・再編されるのはコーポレートラボとして先端技術の研究開発を担当していた「研究開発センター(RDC)」、生産技術を担当していた「生産技術センター(CMC)」、デジタル技術を担当していた「デジタルイノベーションテクノロジーセンター(DITC)」、およびワークスラボである東芝エネルギーシステムズでエネルギー分野の技術開発を担当していた「エネルギーシステム技術開発センター(ERD)」、東芝インフラシステムズでインフラ分野の技術開発を担当していた「インフラシステム技術開発センター(IRD)」の5つのラボ。

新設される総合研究所では、グループの事業領域の革新的システム・技術の研究開発を担う「エネルギーシステムR&Dセンター」「インフラシステムR&Dセンター」「先端デバイスR&Dセンター」の3組織に加え、各事業領域を超えた研究開発と、生産技術を担う「AIデジタルR&Dセンター」「デジタルイノベーション技術センター」「生産技術センター」「マテリアルズ&フロンティア研究センター」の4つの組織が新設される予定で、あらゆる事業領域や設計・製造プロセスで重要性が高まるAIやデジタル技術については、AIデジタルR&Dセンターおよびデジタルイノベーション技術センターが核となり、他のセンターと連携してDXやデジタルサービスの創出を加速させることを目指すとする。

  • 2025年4月1日以降の研究組織体制

    2025年3月31日までの研究組織体制と2025年4月1日以降の研究組織体制 (出所:東芝)

また、デジタルイノベーション技術センターは、生産技術センターとともに、ハードウェアとソフトウェア、業務プロセスの生産性・品質向上のための技術開発・全社展開を担い、事業成長につなげることも役割とするとしている。さらに、マテリアルズ&フロンティア研究センターでは、量子コンピュータなど、既存の事業領域にとらわれない革新的な研究にも取り組むとしている。

なお、東芝ではこれら新組織の下、現在、主要な事業・生産拠点に駐在するラボ機能を強化するとともに、2024年1月に開所した研究開発新棟「イノベーション・パレット」を活用した社会や企業との共創活動を強化していくとしているほか、複数の領域をまたがる技術者同士の協働や、これらの共創活動を通じて、グループの将来を支える技術人材の育成に注力していくことを目指すとしている。

  • イノベーション・パレット

    イノベーション・パレットの外観と内部の様子 (出所:東芝)