東北大学、核融合研究所(核融合研)、東京大学(東大)、国立天文台(NAOJ)の4者は10月27日、中性子星合体時に可視光から赤外域にかけて輝く「キロノバ」現象のスペクトルを解読するため、NAOJの天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイII」を用いて詳細な数値シミュレーションを行った結果、レアアースに含まれる原子番号57のランタンと原子番号58セリウムが、実際に観測された赤外線スペクトルの特徴を説明できることを明らかにしたと発表した。

同成果は、東北大大学院 理学研究科の土本菜々恵大学院生(日本学術振興会特別研究員)、同・田中雅臣准教授、核融合研の加藤太治准教授を中心に、東京大学、独・マックスプランク研究所らの研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、米天文学専門誌「The Astronomical Jounal」に掲載された。

ビッグバンで誕生した元素は、その大多数が陽子1個が電子を1個獲得した水素で、その次がヘリウム、わずかにリチウムも誕生したと考えられている。それ以降の原子番号26の鉄までの多くの元素は、大質量星の核融合によって生成されたと考えられているが、そこから先にある、金やプラチナ、レアアースなど、多くの重元素の起源はまだ解明されておらず、超新星爆発や中性子星合体などが考えられていた。

宇宙には、大質量星の超新星爆発の後に残される中性子星同士の連星系が存在している。中性子連星は合体することがあり、重力波が放出される激しいイベントとして知られる。ノーベル賞の受賞に至った、米国の重力波望遠鏡LIGOによる人類の重力波初検出も連星中性子合体として知られている。この中性子同士の合体では、中性子星の一部が宇宙空間に吹き飛ばされると金やプラチナ、レアアースなどの重元素が合成され、キロノバが観測されると考えられている。

  • 中性子星合体と「キロノバ」の想像図

    中性子星合体と「キロノバ」の想像図 (c) Tohoku University(出所:国立天文台Webサイト)

そしてLIGOなどによって2017年8月に検出された重力波「GW170817」も連星中性子星合体で、このときはすばる望遠鏡などによる光学観測も即座に行われ、キロノバの観測に成功。中性子星合体により、確かに重元素が合成されていることが確認されたという。ただし、中性子星合体で合成された元素の種類や量を明らかにするまでには至らなかったという。