パナソニック オートモーティブシステムズは10月13日、同社が開発したフルディスプレイメーターが、2022年9月15日に発売されたマツダの乗用車「CX-60」に採用されたことを明らかにした。
CX-60に採用されたフルディスプレイメーターは12.3型で、計器類が配置されている「インストルメントパネル(インパネ:計器盤)」として活用されるものとなる。同社のHMIシステムズ事業部が長年にわたって培ってきた“視覚”“聴覚”“触角”に関する技術ならびにカーナビゲーションを中心とするマルチメディア商品などで培ってきたグラフィックス技術を活用することで、ドライバーが運転時に見やすく、認知しやすい表現を3Dグラフィックスで実現したという。
ディスプレイメーターのマツダへの提案は2016年で、さまざまな開発や評価を経て、従来のメカによるメーターにない価値が認められ、2020年に受注に成功したとする。今回、マツダにとっても初のフルディスプレイメーターの採用ということで、共同開発に際し、マツダ、パナソニック オートモーティブシステムズ双方の強みやノウハウを持ち寄り、コックピットのGUI開発に特化したプロフェッショナルチームをゲームやスマホなど異業種から合流したエンジニアも含む形で結成し、実現したいコンセプトや機能を突き詰めていったほか、プロジェクト専任の開発チームを広島に設置し、連携強化を図り、現場/現物を納得するまで議論する仕組みなど、新たな開発手法を取り入れるなどして完成までこぎつけたとする。
CX-60に搭載されたフルディスプレイメーターの特長は「高品位なグラフィックスにより立体感や奥行きを感じる3D立体視像」、「ドライブシーンに応じたシームレスな表示モード切替」、「大画面ディスプレイを活かしたドライバーに分かりやすい運転支援表示」の3つ。同社では、美しさと分かりやすさを兼ね備えたUIでマツダが目指すクルマのコンセプトを表現することができるディスプレイと説明する。
高品質な全面ディスプレイとしたことで、自由度の高いUI表現が可能となったという。例えば、各計器類の表示といった一般的な配置のほか、ドライバーの好みやクルマの走行状況に応じた複数の表示モードへの切り替えも可能としている。さらに、ディスプレイ全面を活用したADAS関連を表示する運転支援システム情報画面も搭載。画面の中心に車体を表示し、近接車両や隣接レーンなどの車外情報を直観的に分かりやすいデザインかつリアルタイムで提示することでドライバーが安全・安心を感じながら運転できるようにしたという。
なお、パナソニック オートモーティブシステムズでは、マツダよりCX-60の量産にあたって、2021年度の開発技術優秀賞を授与されており、今後、普及が期待されるフルディスプレイメーターのリーディングカンパニーを目指すとするほか、自社の強みを生かしたフルディスプレイメーターの開発・納入を通じて、安全・安心で快適なドライビング環境の実現に貢献していきたいとしている。