SK hynixは、将来の半導体成長に備えて、韓国忠清北道清州市の同社青州工場のキャンパスに新ファブとなる「M15X(eXtension)」を建設すると発表した。

新ファブについては、さまざまな市況を勘案し、当初予定よりも前倒しで確保した清州テクノポリス産業団地内の6万m2土地にて2022年10月に着工、2025年初めに完成させる予定だとしている。新ファブの建設と製造装置・設備の設置に今後5年間で合計15兆ウォン(約1兆5000億円)を投資する見通しで、青州工場はNAND工場であるところからM15Xも既存のM15同様にNANDの量産を担うとみられる。

また、次期M17ファブについてもすでに計画があるが、半導体の景気循環の変化など全体的な事業環境を検討した上で近い将来建設を決定するとしている。

SK hynixは2012年にSKグループの一員となって以来、2015年に公開した「未来ビジョン」にしたがって、その後の10年間の投資を進めてきた。同ビジョンでは、46兆ウォン(約4兆6000億円)を投資し、利川本社工場のM14を含むさらに3つの製造工場を建設する計画としており、すでに2018年と2021年にそれぞれ清州でM15、利川でM16が完成した後、今回のM15Xの建設決定により目標よりも早く達成されたことになる。

SK hynixは、メモリ業界の現状と今後について、「世界経済の減速とサプライチェーンの不安定化を背景に、メモリチップの需要は急速に落ち込んでいる。しかし、業界の専門家は、メモリのビジネスサイクルの触れ幅は近年小さくなってきており、メモリビジネスは2024年から着実に回復し始め、2025年には回復すると予測している」との認識を示している。M15Xの建設計画は、2025年に予想される次の好況期に備えるためのものであり、M15Xの建設により、同社は業界が再びブームに入るときに、より多くのメモリチップを提供する準備が整うとしている。韓国勢が伝統的に採用してきた不況時に投資をするいわば逆張り戦法を踏襲したともいえる。

なお、SK hynixの事実上の最高責任者である朴正浩(パク・ジョンホ)副会長兼共同代表は「過去10年間を振り返ると、SK hynixは危機の際にこそ果敢に投資を行い、グローバル企業に成長することができた。今後10年間に向けて準備を進めようとしている今、M15Xの建設を開始することは、将来の堅実な成長の基盤を築くための第一歩になると信じている」と述べている。