宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月26日、打ち上げが直前に迫った2機の超小型探査機「OMOTENASHI」「EQUULEUS」について、最新状況を説明した。両機を搭載する米国の超大型ロケット「SLS」(Space Launch System)初号機は、同29日21:33(日本時間)に打ち上げられる予定。OMOTENASHIは成功すれば、日本初の月面着陸となる。
日本の月面探査が本格化
米国が主導する「Artemis」(アルテミス)計画は、日本も参画する月面有人探査の国際協力プロジェクトである。今回の打ち上げ(アルテミス1)はその最初の飛行となり、まず有人宇宙船「Orion」(オリオン)を無人で搭載。月を周回し、地球に帰還させることで、ヒートシールド等の機能を実証することが目的だ。
宇宙飛行士は次のアルテミス2で初めて搭乗。ただ、このときは着陸まではせず、わずか10日ほどで地球に帰還する。初めて月面に着陸するのは、さらに次のアルテミス3である。実施時期について、以前は2024年と言われていたが、計画が遅れており、現在は最速でも2025年とされている。
Artemis計画では、中核インフラとして、月周回軌道に宇宙ステーション「Gateway」を建設する。この建設に、日本は環境・生命維持技術やバッテリなどで協力するほか、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」を使って、物資の輸送も担う計画。日本はArtemis計画に参加することで、2030年頃、日本人初の月面到達を目指す。
日本は月周回衛星「かぐや」(SELENE)を2007年に打ち上げて以来、しばらく月探査から遠ざかっていたが、2022年度に小型月着陸実証機「SLIM」、2025年にはインドと共同で月極域探査ミッション「LUPEX」と、月面での取り組みを加速。さらに、月面への物資輸送を目指したランダーや、通信・測位システムの開発も検討している。
OMOTENASHI(オモテナシ)/EQUULEUS(エクレウス)は、SLSの打ち上げ余剰能力を活用して搭載される相乗りの探査機。どちらも6Uサイズ(10cm×20cm×30cm)で10kgちょっとのキューブサットではあるが、こういった日本の本格的な月面探査の先駆けとなる。
JAXAでは、この打ち上げ時、YouTubeのチャンネルにおいて、生中継番組「JAXAとみる、国際宇宙探査の夜明け」を配信する予定。配信開始は20:30頃と、日本ではちょうど見やすい時間帯でもあるので、再び人類を月面に送る挑戦の始まりをぜひ見届けよう。