大阪大学(阪大)は8月23日、奥野製薬工業が開発しためっき技術「OPC FLETプロセス」を先端半導体基板(ビア径60μm)に適用し、内層銅と無電解めっき界面の断面を透過電子顕微鏡で詳細に解析したところ、従来プロセスでは100nm以下のボイドが多数確認されるところ、OPC FLETプロセスでは界面ナノボイドがなく、その発生を抑制できることを実証したと発表した。

また、従来プロセスでのナノボイド発生は、めっき浴中へのニッケルの添加が関与している可能性を突き止めたことも併せて発表された。

同成果は、阪大産業科学研究所 フレキシブル3D実装協働研究所の菅沼克昭所長/特任教授、ダイセル、奥野製薬工業の共同研究チームによるもの。詳細は、2本の論文としてまとめられ、1本は2021年11月15日から12月31日までオンライン開催された国際会議「Surface Mount Technology Associationn International Virtual Conference 2021」において、もう1本は2022年3月7日から10日まで開催された国際会議「International Conference on Device Packaging」にて発表されたという。

現在、先端半導体パッケージのサブストレート(基板)は微細化が進み、配線層の3次元化と微細化が同時に進行し、層間を電気的に接続するマイクロビアのサイズは50μmを下回り始めている。

ビア接続の微細化によって、信頼性が担保できない初期故障が顕著になっており、影響は通信基地局、データセンタや宇宙航空機器、さらには車載半導体など広範囲に及んでいるという。マイクロビアの断裂が引き起こすことから、マイクロビア(Weak-Micro-Via:WMV)問題として、深刻に捉えられる事態となっているという。

マイクロビア問題にはさまざまな材料とプロセス因子が関与すると考えられているが、ナノスケールであること、なおかつ現象の複雑さから依然として原因が特定できていないほか、製品の信頼性を担保する評価方法も存在しない状況だという。

そうした中で研究チームは、これまでの研究において、マイクロビア底の数十nm厚さの無電解Cuめっき層周辺に、初期からナノサイズのボイドが散在していることを報告しており、このナノボイドの存在が、最終製品に至るまでの熱履歴中に成長する可能性を見出していたという。

そこで今回の研究では、ナノボイド発生メカニズムの考察を目的に、その発生部の分析を実施することにしたという。