楽天モバイルは8月23日、仮想化したOpen RANの商用モバイルネットワーク構築で得た知見や技術を活用したという技術検証環境である「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」を開設し、国内外の通信事業者やベンダーなどの企業や学術機関(パートナー)への仮想化Open RANの技術検証環境の提供を本格的に開始した。

国内では、同ラボの機能の楽天クラウドイノベーションラボへの設置に加えて、東京工業大学および東京大学 大学院工学系研究科 中尾研究室の構内に、同ラボと遠隔で接続した仮想化Open RANの技術検証環境を提供していく。

  • 東京工業大学(左)と東京大学(右)の仮想化Open RAN設備

なお同社は、情報通信研究機構(NICT)の「Beyond 5G研究開発促進事業」における委託研究において、両大学と共同で研究開発を実施しているとのこと。

同社は、国際的な標準化団体である「O-RAN ALLIANCE」の技術仕様(O-RAN)に準拠した 仮想化Open RANを構築し、既に商用サービスを提供しているという。

また同社は、Open RANベースの商用ネットワークにおいて、分散ユニット(vDU)と集約ユニット(vCU)を完全に分離した柔軟な仮想化モバイルネットワークを、既に構築している。

  • 東工大の仮想化Open RAN技術検証環境

同ラボの検証環境でも、vDUとvCUを完全に分離し仮想化ネットワークを構築することで、多様な拠点における検証を可能にし、パートナーが求めるネットワークの用途に応じた柔軟な仮想化Open RANベースのアーキテクチャ構築を実現するという。

加えて同ラボは、Beyond 5Gを見据えて、RANを管理・制御するインテリジェント機能である「RAN Intelligent Controller」(RIC)により、ネットワーク設計や運用の最適化の実証の支援を目指しているとのこと。

RICプラットフォームでAIアプリケーションを活用することで、ネットワークへの負荷や障害の可能性を予め検知してネットワークを自動的に最適化する他、仮想化Open RANのパフォーマンスを向上し、安定した通信環境の開発にも取り組んでいく方針だ。