熊本大学(熊本大)と旭川医科大学は8月19日、メダカの性分化時期に32~34℃の高水温ストレス下で飼育すると雄化を引き起こすが、その原因が高温ストレスにより酸化ストレスが招かれるためであることを発見したと発表した。
同成果は、熊本大大学院 先端科学研究部の北野健教授、旭川医科大 生化学講座の矢澤隆志講師らの共同研究チームによるもの。詳細は、肥満や老化なども含めた内分泌学全般を扱う学術誌「Frontiers in Endocrinology」に掲載された。
ヒトを含む哺乳類は、性染色体のうちXが2つなら女性、XとYが1つずつなら男性となる。それに対し、魚類、両生類、爬虫類などでは温度に左右される性決定(温度依存的性決定)現象が知られている。
メダカは、哺乳類と同じXX/XY型の性決定様式を持つ。それと同時に温度依存的性決定の仕組みも有しており、メダカを性分化時期に32~34℃の高水温ストレス下で飼育すると、XX個体が雄へと性転換することが知られている。
研究チームはこれまでの研究において、高温により誘導されるストレスホルモン「コルチゾル」が生殖腺に直接作用して雄化を引き起こすこと、この下流シグナルとして核内受容体「PPARα」の活性化が関与していることを明らかにしてきた。しかし、高温ストレスによりすべての個体が雄化するわけではなく、コルチゾルによる雄化機構の全貌は解明されていなかった。
そこで今回の研究では、以前のRNAシークエンス解析において、高温やコルチゾルにより抗酸化酵素遺伝子などの発現量が変動していたため、メダカ仔魚に酸化ストレスを与える実験を行うことにしたという。