この発見をもとに研究グループでは、さらなる機能向上に向け、フッ素(F)挿入反応を実施。わずかなFを挿入するだけで、蛍石構造と岩塩構造の再配列が生じ、構造歪みが消失。Bi–O(–F)層が平坦に配列されることを確認したとする。
さらに、F挿入反応が光触媒に及ぼす効果を測定として、室内の空気中に存在する有害物質の浄化に対するモデル反応の活性を評価したところ、挿入するFの量が増加すると活性が向上することも確認したとする。活性向上の理由について研究グループでは、岩塩型構造と蛍石型構造の再配置により平坦化がなされ、層の波うちが解消され平坦化されたことで、電子がスムーズに移動できるようになったためだと考えられるとしている。
なお、研究チームによると、今回開発された新規物質の光触媒性能は、既存の環境浄化に用いられる光触媒(TiO2)に匹敵するレベルであるとするが、実際の商用化を考えた場合、大量合成手法の構築であったり、長期安定性など、実用に耐えられるかどうかの検証などが必要となるため、まだ時間がかかるとしている。
また、Fの挿入量が増加すると活性が向上していく一方で、層は平坦な状態のままであることは確認されているため、電子の移動度以外のファクターがあることが考えられるが、そうした詳細な解明については今後の課題としている。