国立天文台(NAOJ)は7月22日、すばる望遠鏡などによるアーカイブデータを解析することで、宇宙で最もエネルギーの高い爆発現象の1つであるガンマ線バーストを“宇宙のものさし”として、132億光年先まで宇宙の距離を測定できる可能性がある方法を発見したと発表した。
同成果は、NAOJおよび総合研究大学院大学のマリア・G・ダイノッティ助教を中心とした国際共同研究チームによるもの。詳細は、米天体物理学専門誌「The Astrophysical Journal Supplement Series」に掲載された。
Ia型超新星は、常に同じ条件で爆発し、明るさが一定であることから(近年、明るさが一定でない可能性があることも議論されている)、その見かけの明るさと実際の明るさを比較することで、どれだけ地球から離れているのかを導き出す「標準光源」、つまり“宇宙のものさし”として利用されている。
ただし、Ia型超新星は110億光年までしか利用できず、初期銀河といった130億光年以上彼方の天体には利用できなかった(現在、そうした最遠の天体については、宇宙膨張で天体が地球から見て遠ざかる関係で生じる光の波長が引き伸ばされる赤方偏移が主に利用されている)。
そこで、より遠方まで利用できる標準光源として、研究チームが着目したのが、ガンマ線が突発的に放出される「ガンマ線バースト(GRB)」だという。GRBは宇宙で最も明るい天体現象であり、同天体現象を標準光源として用いることができれば、132億光年彼方まで測定できる可能性があるという。ビッグバンまでわずか6億光年という初期宇宙にまで迫れるかもしれないという。