村田製作所は7月21日、東北大学の野外実験施設内にある塩害実験圃場での土壌センサを活用した共同実証実験の実施を発表した。

地球規模での温暖化が進行する中、農耕地の塩害による被害は深刻な問題となっており、安定的な食糧生産の維持に向け塩害に強い作物の開発研究が進められている。

地表面近くに根を張る性質を持つ地表根イネ系統は、塩害実験圃場での収量減少が抑制されることが、農研機構と東北大学の研究グループにより2020年に論文発表されており、地表根の形成が塩害実験圃場土壌内の塩ストレスなどを回避すると考えられている。

村田製作所は、同社のセンサ・通信技術を活用した津波被災地の塩害圃場の解決に向け、2012年より東北大学大学院農学研究科との共同実証実験を実施しているという。

今回の実証実験では、同社が2022年5月に量産を開始した土壌センサを活用するとのことで、ゲートウェイシステムを介したデータ通信技術により、土壌内塩濃度の推移を遠隔モニタリングすることが可能だとしている。

地表根イネ系統の塩害耐性の要因を探るため、土壌内の深さの異なる位置に村田製作所の土壌センサを埋没し、各種データを計測するとのことで、東北大学大学院生命科学研究科付属の湛水生態系野外実験施設(宮城県大崎市鹿島台)内の塩害実験圃場で行われる。また実証実験期間は、2022年6月から2023年3月までを予定しているとのことだ。

  • 東北大学大学院の湛水生態系野外実験施設内にある塩害実験圃場

    東北大学大学院の湛水生態系野外実験施設内にある塩害実験圃場(出典:村田製作所)

村田製作所は、今後も東北大学の研究グループと共同で研究を進め、塩害という農業における社会課題解決に向けて取り組むとしている。