キヤノンは7月20日、第8世代ガラス基板(G8)に対応したFPD露光装置「MPAsp-H1003H」を発表した。2022年7月下旬から一般受注を開始する予定だという。
同製品は2018年に発表されたG8対応FPD露光装置「MPAsp-H1003T」の後継機に位置づけられるもので、近年需要が増加しているIT機器用ディスプレイや車載用ディスプレイで必要とされる薄型・軽量に加え、高精細さといったニーズに応えることと、従来の高精細パネルで主流であった第6世代ガラス基板(G6)よりも取れ数を増やしたいというニーズに応えることを目的に開発されたという。
前世代機となるMPAsp-H1003Tの投影光学系を継承しつつ、同じghi線系でG6対応の「MPAsp-E813H」で採用された超解像技術を採用することで、解像力(画素の線幅)1.5μm(従来機は2.0μm)を実現したほか、アライメント方式をMPAsp-E813Hで実績のある倍率補正機構へと変更することで、重ね合わせ精度±0.35μmも実現したとする。
また、高速ステージ技術の改良やアライメント時間の高速化、プレートステージの性能向上などを図ることで、前世代機比で生産性を約20%向上させることにも成功したという。
さらに、超解像技術を実現する照明モード切替機構と、露光線幅を安定させる露光スリット自動調整(SIC)機構を搭載したことで、多様化する製造プロセスへの対応力が強化されたとしているほか、製造品質の安定化も図ることができるようになるともしている。
なお、同露光装置は、液晶ディスプレイならびに有機EL(OLED)における高精細化ニーズに対応するものと同社では説明しており、今後も要素技術の開発などを進めつつ、顧客のニーズを把握していくことで、次世代のFPD露光装置の高性能化を図っていきたいとしている。