豊田自動織機は、世界的な自動車の電動化で需要が拡大することが期待されるカーエアコン用電動コンプレッサーの生産能力を増強することを決定したことを発表した。

同製品は、車室内を冷やすための冷媒を循環させるサイクルの心臓部となるもの。同社では、電動コンプレッサーを日本の3工場ならびに中国のYST(烟台首鋼豊田工業空調圧縮機)およびTACK(豊田工業電装空調圧縮機(昆山))で生産しており、今回の決定は、これらの生産ラインの能力増強を行うことを目的としたものとなる。中でもシェルやローターなど、圧縮機能を担う基幹部品を加工する東浦工場は、工場面積を従来の2万8000m2から5万2000m2と約2倍に拡張し、そこに電動コンプレッサー部品専用の加工ラインを新設、2022年10月より生産を開始する計画としている。

  • 東浦工場の加工ラインの様子

    東浦工場の加工ラインの様子 (提供:豊田自動織機)

同社では、こうした生産能力拡充を進めることで、電動コンプレッサーの生産能力を2019年の年産275万台体制(2021年は実績として500万台)を2023年に年産1000万台へと引き上げるとしており、中期的には、市場拡大に対応することを目的に、東浦工場へのさらなるライン増強を進めるほか、欧州および米国の生産拠点での現地生産も2024年度以降に開始することを計画しているとする。

なお、同社では生産能力の拡充に加え、電気自動車(BEV)の熱マネジメントにおける中核部品として電動コンプレッサーの商品力向上にも取り組んでいくとしており、さまざまなタイプの展開を進めるとしている。すでに、2022年4月に発表されたトヨタ自動車の新型BEV「bZ4X」に電動コンプレッサー「ESH34」が採用されているほか、より大型なバッテリーや電子機器にも対応した大容量タイプ「ESH41」も市場投入済みとしており、こちらについては海外カーメーカーから高い評価を得ているとしている。

  • 電動コンプレッサー「ESH41」

    大型バッテリーや電子機器にも対応した大容量タイプ電動コンプレッサー「ESH41」 (提供:豊田自動織機)