IC Insightsによると、2021年のNOR型フラッシュメモリ市場は、フラッシュメモリ市場全体の4%ほどながら、前年比63%増の28億8400万ドルと大幅な成長を果たしたという。
背景には、出荷個数の同33%増に加え、平均販売価格(ASP)の同23%増があり、IC Insightsでは2022年も市場規模は同21%増と伸び、35億ドル規模に達するものと予想している。
2021年のNOR市場は、大手3社で市場91%を占める結果となっている。トップはシェア35%のWinbondで、売上高は同57%増の10億300万ドルとなっている。同社は2011年以降、58nmプロセスにてほとんどのNOR製品を製造してきたが、2021年に入って、ほとんどのNOR製品を40nmプロセスに移行させている。
2位は同じく台湾のMacronixで、売上高は同67%増の9億4200万ドル、シェア33%としている。主なけん引役は通信、自動車、および産業/医療アプリケーションで、同社のNORの売り上げは、全社売り上げの52%を占める規模となっている。また、これまで同社は75nmおよび55nmプロセスを用いてNORを製造してきたが、2022年第4四半期に45nmプロセスへの移行を開始したという。
3位は中国のファブレスであるGigaDeviceで、2021年の売上高は同100%増の6億7000万ドル。主に自動車用途で売り上げを伸ばしており、2022年についても、さらに堅調に業績を伸ばすものと予想されている。
NORは、NANDほど大容量化は進められていないものの、高い信頼性を背景に、たとえば自動車分野では、ダッシュボードの計器クラスタ、インフォテインメントシステム、先進運転支援システム(ADAS)の主要コンポーネントなどとして活用されている。
ただし、電子機器の高度化に伴い、ソフトウェアのコード数が増加しており、NORにも大容量化が求められることとなるが、1Gビット以上の高密度品の製造は、一部の代替メモリソリューションほど高い費用対効果を出せない可能性があると考えられており、IC Insightsでも、そうした技術的背景から大容量化が進めば、SLC NANDやMRAMといったより高密度化が可能なメモリへと置き換えが進む可能性が高いと指摘しており、すでに一部のシステムの設計において、こうした動きが出始めているという。