Space BDは6月22日、宇宙利活用プロジェクト「スペースデリバリープロジェクト - RETURN to EARTH - 」第2弾のキックオフイベントを日本科学未来館で開催した。
同プロジェクトは、ISS「きぼう」日本実験棟の中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)に搭載された新たな小型簡易曝露実験装置(ExBAS)を活用し、国内外の研究機関・教育機関・民間企業などから提供された対象品を宇宙空間に打ち上げ、一定期間宇宙空間に曝露した後に地上に戻すもの。宇宙航空研究開発機構(JAXA)から事業者選定を受け、Space BDが提供しているサービスとなる。
従来の宇宙利用は、大学や研究機関などが専門性の高い宇宙機器の実証のために数千万円から数億円をかけて実施するものだったが、同プロジェクトを利用する場合は、数百万円の費用で宇宙利用が可能だ。また、目的も研究だけにとどまらず、企業のマーケティング活動やキャンペーンなど従来にはなかった目的で参加する企業も多い。
船外利用促進を担当しているJAXAの有人宇宙技術部門きぼう利用センター技術領域主幹の土井忍氏は「宇宙に経済圏を拡大していくという部分では、民間企業との協業が不可欠と考えている。JAXAではリーチできないクライアントが多くいるからだ。民間企業の宇宙進出は、膨大な審査などハードルが高いものもある。Space BDは、そういった部分を熟知している。技術はあるが、宇宙への進出の仕方がわからないといった企業に寄り添い、JAXAとともに船外利用促進をしてもらっている」と同プロジェクトの意義について述べた。
スペースデリバリープロジェクトの第1弾は、10組が参加し、研究用素材や、企業のキャンペーンやCMに用いるイラストなどの品を2022年2月20日に打ち上げ、2022年度中の地球への帰還を予定している。
第2弾となる今回も研究目的のほか、記念品やPR、マーケティング、地域プロモーションといったさまざまな目的で13組が参加を予定している。
例えば、金沢青年会議所は金沢の伝統工芸・金箔を記念品として、パナソニックインダストリーは同社の電子材料を研究目的として、岐阜県庁は岐阜かかみがはら航空宇宙博物館のロゴを印刷したアルミ板をプロモーションの一環としてそれぞれ打ち上げる予定だ。
また、イベントではスペースデリバリープロジェクト第2弾の公式アンバサダーに就任したJO1(ジェイオーワン)も宇宙飛行士が着用する訓練用スーツに身を包み、登壇した。
JO1のリーダー、與那城奨氏は「宇宙について知らなかった人にもこのプロジェクトを通じて、興味を持ってもらえると嬉しいです。いろいろな人に興味を持ってもらうことを僕たちのミッションと思って頑張っていきます」と爽やかに宣言。
Space BDの永崎将利 代表取締役社長は「スペースデリバリープロジェクトも含め、新しい宇宙の利用法を届けられるような事業を引き続き行っていきたい」とした。
スペースデリバリープロジェクト第2弾の対象品は、2022年10月にJAXAに引き渡し、2022年度内に国際宇宙ステーションの補給船に搭載して輸送し、宇宙空間に6か月の曝露を行い、2023年度内に対象品をISS船内に回収、地球への帰還を予定している。