Samsung Electronicsは、台湾の液晶パネルメーカーである友達光電(AUO)、群創光電(Innolux)など社外の液晶パネルサプライヤやその他電子部材のサプライヤに対し、6月16日から7月末まで新規調達を一時停止すると通知した模様だと台湾の複数のメディアが報じている。

世界的なインフレに伴う消費意欲の減退が背景にあると見られ、Samsungではテレビ完成品の在庫が16週、スマートフォン(スマホ)完成品の在庫も12週分まで増加している模様だという。台湾のサプライチェーン関係者によると、Samsungの幹部が、テレビ向けのみならず、家電、スマホなどの組み立てに必要なすべての電子部品の入荷を一時停止することを決定した模様で、台湾のサプライヤ各社に打撃を与える状況となっているという。

ちなみにSamsung Display(SDC)は2022年6月でテレビ用液晶パネルの生産を全面的に終了する予定である一方、Samsungブランドのテレビは世界シェアトップクラスであり、SDCの液晶パネル生産に伴い、AUO、Innolux、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)、恵科(HKC)、堺ディスプレイプロダクト(SDP)傘下の超視堺国際科技(広州)などの台湾液晶パネルサプライヤ各社は、Samsungのテレビ事業部門から受注数量が増えると期待していただけに、一時的とはいえ調達停止の影響は大きいという。

英国の市場調査会社Omdiaによれば、Samsungは2022年に入り、何度もテレビの出荷目標を下方修正しており、4月からパネル調達を減らし始めたという。第2四半期のテレビ用パネル調達枚数は820万枚と、従来の1000万枚以上という目標を下回り、過去10年で最低となったという。また第3四半期のパネル調達予測も900万枚と、従来の1200万枚予想から下方修正されたという。

なお、Samsungの調達活動の停止で、ディスプレイ用ICサプライヤも打撃を受けそうだと言われており、主に台湾のIC設計会社のテレビ用SoC、ドライバIC、スマホ用アプリケーションプロセッサ(AP)、CMOSイメージセンサ(CIS)などといったSamsung向けの出荷が、7月末まで3~4割減少すると予想されるという。