架線電圧の低下が発生するのは、運行される列車の本数が増加するにつれ、架線の電流における位相の遅れが大きくなることが理由であることから、電流の位相の遅れが小さくなるよう、主力変換装置のソフトウェアに改良が施されたという。

  • 電圧の低下を抑制する仕組み

    N700Sに搭載された新機能が電圧の低下を抑制する仕組み (出所:JR東海プレスリリースPDF)

架線電圧の維持機能を車両側が有することで、一部の変電所や電力補償装置を削減することが可能となることから、JR東海では、東海道新幹線の全編成に今回開発された機能の導入が完了した際には、約1割の変電所と半数の電力補償装置を削減できるとしており、それにより年間約2000万kWhの電気使用量を低減できることとなり、約3億円の電気料金と約1万トンに相当するCO2排出量を削減できる見込みとしている。

ただし、まだ東海道新幹線にはN700やN700Aなども走っているため、全編成に搭載するにはひかりやこだまもすべてN700Sにリプレースする必要があり、実現はしばらく先の話となるともしている。

なお、JR東海としては今後、N700Sの一部の営業車両に今回の新機能を順次搭載し、2023年2月までに機能確認試験を実施する計画としており、その試験の結果が確認された後に、残りのN700Sにも同機能の搭載を順次拡大していくとしている。