ルネサス エレクトロニクスは4月14日、アプリケーションソフトウェアの先行開発と動作評価を実現するバーチャル開発環境の提供を開始したと発表した。

同開発環境には、アプリをデバイスや評価ボードがそろう前から先行開発できる「バーチャルターンキープラットフォーム」と、開発したソフトウェアの動作を、実チップと同じふるまいで解析、評価できる「マルチコアデバッグ&トレースツール」が含まれるとしている。

バーチャルターンキープラットフォームは、仮想開発環境「R-Car Virtual Platform(R-Car VPF)」上に、ソフトウェアライブラリやサンプルコードなど動作検証済みの「ソフトウェア開発キット(R-Car SDK)」を搭載したもの。

R-CarVPFは、Synopsysの「Virtualizer Development Kits(VDK)」をベースとして、R-Car固有のIPの仮想モデルを追加し、R-Car用にカスタマイズしており、R-Car SDKを搭載することでアプリをバーチャルですぐに開発することが可能だとしている。

同プラットフォームは、実チップを高精度で再現しているため、ユーザは実ボードを使用して開発環境を立ち上げる必要がなく、複数のユーザが各自のパソコン上やサーバ上で、同時進行でソフトウェアを開発することができる。

一方のマルチコアデバッグ&トレースツールは、複数のソフトウェアを1チップに統合した際に、複数のハードウェアリソースが相互に影響して発生する問題の解析や原因特定を容易にするツール。

これにより、実デバイスで動作させるのと同様に、ヘテロジニアス構成のR-Car全体の同期・同時デバッグが可能になるため、問題が見える化され、開発期間の短縮を実現するという。

同開発環境は、4月14日より「R-Car S4」向けに提供を開始しており、「R-Car V4H」向けならびに次世代のR-Carや車載用マイコン「RH850」にも順次対応していく予定だとしている。