豊田自動織機(豊田織機)は4月13日、電気自動車(BEV)向けに車載充電器とDC-DCコンバータを一体化させた小型・軽量のユニットを新たに開発したことを発表した。すでにトヨタ自動車のBEV「bZ4X」のESU(Electricity Supply Unit)において、充電機能と電力変換機能を担う基幹ユニットとして搭載されているという。
車載充電器は、一般家庭に供給されている交流電圧を直流電圧に変換し、高電圧バッテリーを充電する機器。開発品の最大出力は6.6kWで、定格入力電圧はAC100~240Vとしている。一方のDC-DCコンバータは、高電圧なバッテリー(355V)から、12Vへと電圧へと変換し、補機バッテリーや制御ECU、ナビゲーションシステム、ライトなどに電力を供給するコンポーネント。開発品の出力電圧は12V、出力電力は2.1kWとしている。従来は、それぞれが別個に車体に搭載されていたが、今回、次世代素子であるSiCの採用と内部水路形成による立体配置、専用の内製制御IC/パワーモジュールの採用などにより、従来品比(別個の車載充電器およびDC-DCコンバータを搭載した状態)で体格23%低減、重量17%の低減を実現し、一体化による小型軽量化を実現したとする。
具体的には、一体化することを目的に、車載充電器の回路構成のシングル化を模索(従来の3.3kW回路×2構成から6.6kW×1構成へと変更)。各回路ブロックの構成部品を通過する電力が2倍になるため、電力変換回路のサージ電圧ならびに部品の発熱という問題があったことから、その解決に向け、サージ電圧に対してはSiCダイオードを採用することで抑制を図ったほか、部品発熱については、ケース内に水路を構成し、水路両面に部品を配置することで放熱性を向上することで対応を図ったとするほか、冷却効率の向上により回路構成がシンプルになったことで、コスト低減も実現したとする。
また、従来は基板の上にさまざまな電子部品を載せて制御回路を構成していたが、これらの一部を専用の内製制御ICにメイン機能を集約することで110点の部品点数の削減ならびに基板サイズを従来品比85%減となる小型化を実現したほか、複数の電力変換用半導体を放熱基板上に集積したパワーモジュールについても、小型サイズの半導体を採用することで、充電機能の電力変換回路の小型化を実現したという。
なお、生産は安城工場が担当し、現時点では月産6000台程度を予定しているという。また、bZ4Xには、冷房だけでなく、暖房や電池冷却でも活用できる高耐久性、静粛性、小型といったニーズを満たした新開発の同社の電動コンプレッサー「ESH34型」も搭載されているという。