日立製作所(日立)は4月12日、勘定系システム事業を強化することを発表した。具体的には、静岡銀行と共同開発し2021年1月に稼働した次世代勘定系システムをベースとする、オープン勘定系パッケージを同行での稼働ノウハウとともに提供を開始する。

1980年代の第3次オンラインシステムの稼働以降、勘定系システムはメインフレーム上で稼働を続けてきたが、システムは老朽化と肥大化を続け、現在では、システムの全体像を把握できない「ブラックボックス化」や、最新技術との接続のしにくさが社会問題となっている。

日立が提供を開始する新たなパッケージの名称は「OpenStage」。高信頼が求められる勘定系システムにLinuxを採用しオープン化したものだ。内部機能と外部サービスを柔軟につなぎ、タイムリーなデータ連携・利活用を実現できるスマートシステムがコンセプトだ。

オープンアーキテクチャーを生かし、経営戦略にあわせたシステム開発のスピードアップ、将来にわたるシステム保守・運用コストの低減、API機能により、多様な外部サービスとの連携を可能にしている。

また、「OpenStage」は業務機能や配置を抜本的に刷新しているため、持続可能な勘定系を実現する。部品化して組み合わせるコンポーネント化により、プログラムの複雑化を回避し、プログラム構造をシンプル化してブラックボックス化を抑止するほか、業務処理はパラメータ化して、商品の追加や廃止時における開発スピードの向上につなげる。

例えば、静岡銀行では、システムの運用・保守面では、システムのブラックボックス化の解消に加え、シンプルなシステム構造により、プログラム開発生産性の25%以上の向上、業務仕様変更や商品の追加など改修作業を20分の1に低減するなど導入効果を試算している。

同社は今後、静岡銀行との新規共同開発・稼働・安定保守運用を経て得たノウハウと実績をもとに、本格的に拡販へ注力していく。持続的な機能拡充と、さらに広範なニーズに応えるため、パブリッククラウドでの稼働実現性を検証していく考えだ。