中国商務部投資促進事務局は、日米欧の海外半導体デバイスおよび製造装置・材料など半導体関連メーカーとの協業をさらに進めるために「国境を超えた半導体産業サービス業務を促進する委員会」の設立準備を進めていることを明らかにした。
その準備の一環として中国商務部は、2021年10月に北京で「国境を越えた半導体産業サービス交流会議」を主催したという。主催者の中国商務部投資促進事務局によれば、この会議には、Intel、AMD、STMicroelectronics、Infineon Technologies、Merck、キヤノン、AGCなど、多数の外資系半導体、製造装置、材料メーカー、SEMIその他の有力な国際機関や業界の外資系企業、および中国内半導体関連企業や公的機関が招待されたという。また会議では、半導体産業の専門的サービス能力の向上や国際協業促進の実現などのトピックについて実践的な交流が行われたほか、恒常的組織として「国境を越えた半導体産業サービス工作委員会」の設立についても参加者の賛同を得て、計画が議論されたという。
同会議において、投資促進事務局の李永副局長は、「グローバル化における分業のため、半導体産業サプライチェーンの国際化と協調的発展を促進することを目的とした国境を越えた産業協力とエコシステムの構築が特に重要である」と述べたとされる。国境を越えた半導体産業協力サミット、産業チェーンの生態学的マッチメイキング会議およびその他さまざまな活動を開催することによってコミュニケーションプラットフォームを構築し、プロジェクトの実現可能性調査、投資、買収、および資金調達、経営コンサルティング、人材ドッキング、知的財産提供などを促進するという。また、投資促進事務局の産業部門ディレクターであるBao Ning氏は、双方向の国境を越えた協業を実行するための半導体産業の実用的なアイデアを参加者に対して詳細に紹介したという。
中国は、米商務省が規制をかける米国の先端技術には依存せず、米国の制裁の影響を受けない半導体サプライチェーンを構築しようとしているが、Intelはじめ規制のかかっていない米国企業とは、さらに積極的かつしたたかに協業を進めようとしている。米国企業にとっても中国は巨大かつ有望な市場であるから売り上げを伸ばすチャンスであり、お互いwin-winの関係を構築しようとしている。
なお、「国境を越えた半導体産業サービス工作委員会」は、習近平国家主席の母校で半導体技術を得意とする清華大学傘下の研究組織がとりまとめ役となり、国策に沿った活動を進めていくことを予定しており、日本からは、主要な装置・材料メーカーに向けて参画の要請が行われている模様である。